【震災復興ツーリズム_宮城県版】東日本大震災の震災遺構・資料館・祈念公園、復興商業施設など全一覧
未曽有の被害をもたらした東日本大震災から2021年3月11日で、丸10年が経ちました。この機にあらためて三陸の各都市を回り、震災遺構や資料館・復興祈念公園、あるいは復興のシンボルとなる商業施設やインフラ、民間有志の取り組みなど、最新の状況を写真でまとめてみることにしました。その【宮城県版】です。★2023/6/3情報更新
震災の記憶を風化させないためにも、そして街の活気を高めるためにも、ぜひ多くの方が現地を訪れ、これらの施設を見て、同時に海の幸に恵まれた三陸の味覚もぜひ味わってきていただければと思っています。
・石巻南浜津波復興祈念公園 (メモリアル施設)
・旧石巻市立門脇小学校 (震災遺構)
・旧石巻市立大川小学校 (震災遺構)
・いしのまき元気いちば (観光/商業拠点)
・石巻魚市場 (漁港/魚市場)
・道の駅「硯上の里おがつ」雄勝硯伝統産業会館/雄勝観光物産交流館 (観光/商業拠点)
・モリウミアス (複合体験施設)
・ホエールタウンおしか (観光/商業拠点)
・女川交番 (震災遺構)
・シーバルピア女川/ハマテラス (観光/商業拠点)
・女川魚市場 (卸売市場)
・南三陸さんさん商店街 (復興商業施設)
・南三陸町震災復興祈念公園 (メモリアル施設)
・高野会館 (震災遺構)
・南三陸ワイナリー (復興プロジェクト)
・南三陸ハマーレ歌津 (復興商業施設)
[参考]・JR清水浜駅 (BRT)
・気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館 (震災遺構/メモリアル施設)
・三陸復興国立公園 岩井崎/龍の松 (復興シンボル)
・気仙沼市復興祈念公園 (メモリアル施設)
・リアス・アーク美術館 (震災展示施設)
・唐桑半島ビジターセンター&津波体験館 (震災展示施設)
・気仙沼漁港 (漁港/魚市場)
・気仙沼海の市/シャークミュージアム、氷の水族館 (観光/商業拠点)
・みしおね横丁/鶴亀食堂・銭湯 (復興商業施設)
・商業施設ないわん/「迎」「拓」「結」PIER7「創」 (観光/商業拠点)
・BLACK TIDE BREWING (復興プロジェクト)
・あさひ鮨 (飲食店)
・復興道路/気仙沼湾横断橋、気仙沼大島大橋 (復興インフラ)
・気仙沼大島ウェルカム・ターミナル/野杜海 (観光/商業拠点)
・道の駅 大谷海岸 (道の駅)
[参考]・きっかけ食堂 (支援プロジェクト)
・東松島市東日本大震災復興祈念公園、東松島市震災復興伝承館、旧野蒜駅 (震災遺構/メモリアル施設)
・塩釜市東日本大震災モニュメント (慰霊碑)
・塩竈市津波防災センター (震災展示施設)
・マリンデッキ塩釜 (避難施設)
・塩竈市魚市場/塩釜海の駅 (漁港/魚市場)
・塩釜水産物仲卸市場 (卸売市場)
・仙台市立荒浜小学校 (震災遺構)
・仙台市荒浜地区住宅基礎/荒浜記憶の鐘 (震災遺構)
・せんだい3.11メモリアル交流館 (震災展示施設/交流施設)
・日和山 (震災関連名所)
[参考]・津波避難ビル (避難施設)
・旧鈴木英二邸 (震災遺構 ※間もなく解体)
・名取市震災復興伝承館 (震災展示施設)
・名取市震災メモリアル公園 (メモリアル施設)
・閖上の記憶 (震災展示施設)
・ゆりあげ港朝市/メイプル館/浜や (観光/商業拠点)
・かわまちてらす閖上/若草寿司 (観光/商業拠点)
・千年希望の丘 (メモリアル施設/資料館)
・中浜小学校(震災遺構)
・いちご団地/山元いちご農園、ICHIGO WORLD (震災復興事業/観光)
■ 石巻市街
石巻南浜津波復興祈念公園
東日本大震災の追悼施設や、震災の記憶と教訓の後世への伝承、国内外に向けた復興に対する意思の発信を目的に、石巻市南浜地区に設置されるもの。3月11日の10周年に国営の追悼・祈念施設を先行して設置し、3月28日に全体を開園。今後随時、施設の建設が進められていく。国主導の祈念公園は、宮城県がここ南浜、福島県の双葉町、岩手県の髙田松原と、各県に1か所ずつ設置されている。※概要・進捗はこちらから
2021年3月11日に「石巻南浜津波復興祈念公園」で開催された「東日本大震災追悼3.11のつどい」キャンドル点灯。下写真は、震災発生時刻に実施されたバルーン打上げ
公園内に設置された「石巻市慰霊碑」。3月11日に除幕式が実施された。石巻市は震災の死者が4,000名近くに上り、全国最大。その(了承を得られた)一人ひとりの氏名が彫られている。
石巻南浜津波復興祈念公園全体は、その後の3月28日に開園。ただし「みやぎ東日本大震災津波伝承館」は、コロナ禍の影響で休館が続いており、6月にオープン予定となっている。
日和山公園から見た、石巻南浜津波復興祈念公園の全貌
〇石巻南浜津波復興祈念公園 ホームページ
住所:宮城県石巻市南浜町3丁目1-12 (2021/3/11、5/29訪問)
旧石巻市立門脇小学校
かねてより裏山への避難訓練が実施されており、校内に残っていた生徒・先生は全員が裏山に避難して難を逃れたことで知られる。建物は震災遺構として残すか解体するかで大きく意見が分かれたが、全体は解体し校舎の一部が祈念公園内に保存されることになった。
住所:宮城県石巻市門脇町4丁目2-11 (2021/3/11訪問)
旧石巻市立大川小学校
こちらは門脇小学校とは対照的に、避難判断の逡巡などにより、校庭・校内にいた児童や教職員のほとんどが死亡。あまりにも痛ましい事故となった。当施設は震災遺構として校舎を完全保存するほか、公園整備を実施し、桜の植林、展示スペースのある管理棟の建設、慰霊碑などを設置する。
※参考記事 《東日本大震災》大川小、裁判を終えて“震災遺構”へ…遺族の10年「生き地獄の日々」 2021/3/7 週刊女性
住所:宮城県石巻市釜谷山根1 (2021/3/12訪問)
★2023/6/3追記
2021年7月に震災遺構として整備され、大川震災伝承館が開館。一般公開開始 (参考記事) 【公式ホームページ】
各エリアごとの震災前・震災後の比較写真を大きく展示
先生や生徒の避難の判断の時系列が克明に記されており、そのシーンを想像するといたたまれないものがある。
一般公開とともに小学校の校庭内部まで入れるようになった。誰もが一度は見ておくべき施設だと思う。
いしのまき元気いちば
「石巻の水産業の販路拡大」と「市民の皆様の生鮮品の買物利便性向上」及び「石巻を訪れる観光客の皆様のお土産品購買ニーズに応える」という三つを主たる目的に2017年6月30日にオープンした施設。食品加工関連16社、地元料理店4店、 地元企業8社他、地元企業主導で運営。石巻ならではの新鮮な魚介類や地域特産物の物販やフードコートが設置されている。施設周辺にも幾つもの飲食店がオープンしている。
フードコートのテラス部分から整備されたばかりの堤防につながる
川向かいには、石ノ森章太郎氏のマンガミュージアム「石ノ森萬画館」の個性的な建物が見える。
〇いしのまき元気いちばホームページ http://genki-ishinomaki.com/
住所:石巻市中央二丁目11-11 (2021/3/11訪問)
石巻市水産物地方卸売市場/石巻魚市場
水揚げ量、水揚げ高ともに国内ベスト10に入る日本有数の漁港「石巻漁港」の中核施設。上屋の長さは864mと国内最大規模を誇る。東日本大震災による甚大な被害を受けたものの少しずつ再建し、2015年9月に全棟供用が開始された。
誰でも市場内を見学できるようになっており、2階見学通路から水揚・陳列・販売の状況を(ガラス越しに)見ることができる。
▲7:50頃に到着した際は、水揚げ作業はほぼ完了済み (2021/3/12訪問)
道路向かいの「石巻水産振興センター」1階には食堂(斎太郎食堂)があり、基本的には市場関係者向けの日常食を主体とするものの、観光客向けの海鮮メニューもいくつか用意されている。下写真は、特上海鮮丼 2,400円。
〇石巻魚市場ホームページ http://www.isiuo.co.jp/
住所:石巻市魚町2丁目14番地 (2021/3/12訪問)
■石巻市雄勝町
道の駅「硯上の里おがつ」(雄勝硯伝統産業会館/雄勝観光物産交流館)
雄勝湾に面した場所を造成して再構築した雄勝町の商業拠点。雄勝硯伝統産業会館、雄勝観光物産交流館「おがつ・たなこや」、この地に営業拠点を移した地元商店などからなる。2020年5月オープン。(雄勝硯伝統産業会館への立ち入りは無料だが、有料展示室有り)
雄勝町を代表する特産品「硯」は、600年以上の歴史を持つ国内最大クラスの産地。東京駅の創建時に屋根材(黒いスレート)として使われ、(東京大空襲で焼失後は使われていなかったものの)、2012年に創建当時の姿で全面開業した丸の内駅舎で、再び雄勝石が使われることになった。
近年は硯の需要は減少しているものの、その質感を生かして料理店向けの器としての需要が高まっているという。館内には販売ギャラリーとともに有料の展示室も設置されている。
隣接する雄勝観光物産交流館には、雄勝地域の特産品をメインとした物産販売や飲食を楽しめる施設が設置されている。湾に面する部分には巨大な防潮堤が建造されており、同地に押し寄せた津波の高さを物語っている。
〇道の駅「硯上の里おがつ」ホームページ
〇雄勝硯生産販売協同組合 ホームページ
住所:石巻市雄勝町下雄勝2丁目17 (2021/3/11訪問)
モリウミアス
旧桑浜小学校をリノベーションして2015年7月にオープンした「こどもたちの複合体験施設」。「サステナビリティ」(持続可能性)という考え方に基づいた宿泊体験をべースに、雄勝の豊かな自然を生かした多彩なプログラム【プログラムイメージはこちら】を提供する。
伊藤忠商事を経て、飲食店向け食材EC事業を手掛けるベンチャー企業を創業した立花貴氏と、キッザニアの創業メンバーの一人である油井元太郎氏が中心となって立ち上げ。非常に多くの人や企業の共感と協力を得てプログラムを推進。現在は「公益社団法人MORIUMIUS」として運営する。
〇モリウミアス ホームページ
住所:石巻市雄勝町桑浜字桑浜60 (2021/3/11訪問)
■石巻市鮎川
ホエールタウンおしか
日本を代表する”捕鯨の町”であり、霊島・金華山の玄関港である鮎川浜。「ホエールタウンおしか」は、牡鹿半島の観光交流拠点施設として建設。
「観光物産施設Cottu」「牡鹿半島ビジターセンター」「おしかホエールランド」の3施設で構成され、前2つは2019年10月にオープン。「ホエールタウンおしか」は被災前にあった施設の再興となるもので、2020年7月20日にオープンした。
当施設の大きな目玉が「ホエールタウンおしか」(入館は有料)内の、全長16・9
「観光物産施設Cottu」内には、飲食店と売店を設置。やはりここでも、鯨に関するものが中心となる。
「黄金寿司」でいただいた、鯨寿司と鯨刺身定食ともに2,000円(料理写真のみ2020/7/5のもの)
施設のすぐ目の前には鮎川港があり、石巻港や”ねこの島”で知られる田代島などを結ぶほか、金華山観光クルーズも運行している。
〇ホエールタウンおしか ホームページ
住所:石巻市鮎川浜南43-1 (2021/3/11訪問)
■牡鹿郡女川町
旧女川交番
鉄筋コンクリート造の建物が、基礎ごと引き抜かれ転倒しているさまに、津波の力の凄さをまざまざと見せつけられる。現存する多くの震災遺構の中でも、トップクラスにインパクトが強い。
2020年2月に整備を終えて公開された。
〇旧女川交番 紹介ページ
住所:牡鹿郡女川町海岸通り(海岸広場内) (2021/5/29訪問)
シーバルピア女川
JR女川駅前から女川港に向けて伸びる遊歩道を挟み、美しい街並みを形成する、復興のシンボルとなる商店街。2015年3月開業。
観光物産市場の「ハマテラス」をはじめ、30ほどの個性的な店舗が立ち並び、観光スポットしても注目され常時賑わう。
女川は日本有数の漁港の一つでもあり、やはり魚介類系の食事が人気。同地の代表的な飲食店の一つ「おかせい」から、特製女川丼2,800円 (2021/3/11訪問)
人気双璧のもう一店舗「女川海の膳 ニューこのり」から、1年前にいただいた特選海鮮丼2,574円 (2020/7/5訪問)
★2023/6/3再訪
特盛生うに丼120g・女川港水揚げ 5,750円
少し変わったところでは、すべて段ボールで作った「ダンボルギーニ」も、当地の目玉の一つとなっている。
〇シーバルピア女川 ホームページ
住所:宮城県牡鹿郡女川町女川2丁目60番地 (2021/3/11訪問)
女川魚市場
人口6,000人強の小さな町ながら、全国トップクラスの水揚げ高を誇る女川漁港。2020年は本州の主要漁港で唯一、水揚げ量、水揚げ金額とも前年を上回ったという元気ぶりが目立つ(参考記事)
2016年から17年にかけて事務所棟、荷捌き場が整備されて現在に至る。
市場内にある「女川魚市場食堂」は、割烹料理店のような入り口。職員向けの食堂は、別途専用のものがあり、ここは外部の人向けに作られたもの
店内はカウンターと半個室で構成。他に、海や市場の様子を目の前に見通せるテラス席がありこれは非常にレアな存在と言える
市場にぎり2,750円は、ネタも大きめで内容もしっかりしたもの。女川でランチというと、どうしてもハマテラスに人が集まるが、ゆったりと楽しみたい方はこちらもおすすめ。日替わりメニュー詳細は、twitterで情報発信中。
〇女川魚市場 女川市関連ページ
〇女川魚市場食堂 twitter
住所:牡鹿郡女川町市場通り66番地 (2021/5/29訪問)
■本吉郡南三陸町
南三陸さんさん商店街
2012年2月25日に仮設商店街としてオープンした”さんさん商店街”をもとに、2017年3月3日に本設オープンした商業施設。飲食店・鮮魚店などの地元商店を中心に30店舗弱が並ぶ。
南三陸町は、「西の明石、東の志津川」と呼ばれるほどのタコの名産地であり、施設内にはタコをかたどった掲示物や、タコ関連商品が非常に多い
「山内鮮魚店」ないのタコ販売スペース。買うだけではなく、刺身の単品や丼などでいただくこともできる。
一方、南三陸町は地域の食材を活用した「南三陸キラキラ丼」を町ぐるみでPRしており、1年を4シーズンに分けて、加盟各店が気説明に工夫を凝らした海鮮丼を提供している。下記写真は2018年12月17日の「山内鮮魚店」のいくらサーモン丼1,500円。
〇南三陸さんさん商店街 ホームページ
住所:本吉郡南三陸町志津川字五日町201番地5 (2021/3/12訪問)
★2023/6/3追記
5月からの南三陸キラキラ丼はウニ
山内鮮魚店のウニ丼は、ご飯とパックウニを買って自分で仕上げるタイプ
南三陸町震災復興祈念公園
南三陸さんさん商店街の川向かいに、2020年10月に開設された震災メモリアル施設。犠牲者名簿を安置する石碑が設置された「祈りの丘」を中心に構成される。
両施設をつなぐ中橋は、建築家・隈研吾氏のデザインで、南三陸杉を利用したウッドデッキの太鼓橋。
夜にはライトアップもされ、施設のシンボル的存在になっている。
〇南三陸町震災復興祈念公園 ホームページ
住所:本吉郡南三陸町志津川塩入31 (2021/3/12-13、5/29訪問)
★2023/6/3追記
2022年10月1日「道の駅さんさん南三陸」の開業に合わせてオープンした、BRT志津川駅
震災伝承施設「南三陸311メモリアル」、観光交流施設「南三陸ポータルセンター」と一体化した建物に。こちらも隈研吾氏設計によるもの。
展望スペースから、震災復興記念公園を望む
同じ場所から、「南三陸さんさん商店街」を望む
高野会館 (震災遺構)
気仙沼の阿部長商店が経営していた結婚式場。地域の一時避難場所になっており、300名を超える多くの命を救ったことでも知られる。同社が経営する南三陸ホテル観洋から、毎日「語り部バス」(第3回ジャパン・ツーリズム・アワード 大賞受賞)が運航されている。
住所:本吉郡南三陸町志津川字汐見町32-1 (2021/3/12訪問)
南三陸ワイナリー
南三陸町の新たな産業を生み出すべく、地域おこし協力隊による任意団体としてスタートした南三陸ワインプロジェクト。ワイン醸造だけではなく、植樹や漁業との連携などまで、山・海を含めた地域トータルでのエコシステムを創出する。
2017年に南三陸町入谷地区にワイン用ぶどう(シャルドネ)を700本植樹し、2020年10月に初収穫。同年同月に南三陸町志津川地区に誕生したワイナリー施設にて醸造した「MINAMISANRIKU CHARDONNAY 2020」が2021年2月10日に発売された。初めての収穫・醸造とは思えないほど、本格的な味わいとなっている。【商品サイトはこちら】
またこのワインは牡蠣漁師の協力を得て、志津川湾の水深10メートル付近に沈める海中熟成も行っており、2020年に引き上げた熟成ワインはクラウドファンディングなどですべて完売するほど人気をあつめた。【クラウドファンディング概要】
再建された、南三陸町地方卸売市場(志津川魚市場)のすぐ向かいに、レストラン併設のワイナリーショップも運営しており
ワインの試飲や購入、食事が楽しめるほか、醸造所見学も可能となっている。
〇南三陸ワイナリー ホームページ
住所:本吉郡南三陸町志津川字旭ケ浦7-3 (2021/3/12訪問)
★2023/6/3追記
左:南三陸サーモンの生ハム仕立て 700円とシャルドネ2022グラス 500円。右:100%リンゴジュース(南三陸町内入谷産リンゴ) 300円と、やまぶどうスカッシュ(気仙沼産やまぶどう) 400円
南三陸ハマーレ歌津 (復興商業施設)
2011年12月に南三陸町歌津地区に設置された仮設商店街の「伊里前福幸商店街」を引き継ぐ形で、2017年4月に本設施設としてオープン。
南三陸さんさん商店街と同様、設計は隈研吾氏。木造平屋2棟で、飲食店、衣料品、日用品店などの地元商店を中心に構成される。
〇南三陸ハマーレ歌津 ホームページ
住所:本吉郡南三陸町歌津字伊里前96-1 (2021/3/12訪問)
JR清水浜駅 (BRT)
気仙沼線・大船渡線の沿岸部の路線は鉄道での再建を断念し、「BRT」(バス・ラピッド・トランジット)方式で、既存の線路跡地をバス専用道として活用するなどして、新たな交通インフラとしている。そのなかから、清水浜駅を震災直後の写真と比較しながら紹介する。
清水浜駅の前後は、流された橋脚や高架部分も復旧させて、旧路線に沿ったかたちでBRTを走らせている。
▲2012年3月11日撮影
▲旧清水浜駅があったあたり
▲2012年3月11日撮影時の旧清水浜駅
(参考) BRT駅別乗車人員/JR東日本
■気仙沼市
気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館/気仙沼向洋高校旧校舎
被災直後の姿を留めたまま保存整備された「気仙沼向洋高校旧校舎」を軸に、2019年3月10日にオープンした伝承施設(入館は有料)。
校舎内部の各フロアにも入ることができ、被災当時の姿をリアルに感じ取ることができる。
津波の凄さを象徴するのが、津波によって流されてきた車をそのままの状態で保存している3階フロア。ただこの校舎内の先生や生徒は、いずれも避難して無事だったという。
隣地には大きな敷地を使って「気仙沼市パークゴルフ場」が設置され、非常に賑わっていた。
〇気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館 ホームページ
住所:宮城県気仙沼市波路上瀬向9-1 (2021/3/12訪問)
三陸復興国立公園 /岩井崎龍の松
2013年5月に指定された延長250キロにも及ぶ「三陸復興国立公園」(前身は「陸中海岸国立公園」)の岩井崎エリア。「気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館」から車ですぐの場所。
広大な水平線を眺められる一方、沿岸部に目をやると、新しい防潮堤が長大な姿を見せる。
東日本大震災の津波によって幹や枝などが被害を受けたものの、一部が奇跡的に残り、龍の形で残ったと言われる「龍の松」がシンボル。
〇岩井崎龍の松 ホームページ
〇三陸復興国立公園 ホームページ
住所:気仙沼市波路上岩井崎1-1 (2021/5/13訪問)
気仙沼市復興祈念公園
気仙沼湾を一望できる陣山の丘陵の上に、2021年3月11日に完成した復興祈念公園。
犠牲者1085人の名前を刻む銘板、船の帆をモチーフにしたモニュメントなどが設置されている。
「祈りの帆―セイル-」の中からは、気仙沼港をはじめとする湾の全貌や、完成したばかりの「気仙沼湾横断橋」などを望むことができる。
〇気仙沼市復興祈念公園 ホームページ
住所:気仙沼市陣山4-4 (2021/3/13訪問)
リアス・アーク美術館
1994年10月に開館した、非常にユニークな外観/入場動線を持つ美術館(気仙沼市、南三陸町の1市1町で構成される組合によって運営)。入館は無料だが、常設展示は観覧料が必要。
当地区の文化資源を展示・紹介するほか、「東日本大震災の記録と津波の災害史」と題し記録資料等を常設展示しているのが大きな特徴。
学芸員が記録用に撮影した写真がメインとなるため、クオリティ・量とも非常に見ごたえがある。
〇リアス・アーク美術館 ホームページ
住所:気仙沼市赤岩牧沢138-5 (2021/3/13訪問)
唐桑半島ビジターセンター&津波体験館
三陸復興国立公園と唐桑半島について紹介するビジターセンター内に設置された、全国初の津波の疑似体験館(入館は無料、津波体験は有料)
映像・音響・振動・送風など、さまざまな動きを組合わせて臨場感を演出。2013年4月にリニューアルされて現在の形態になっている。
〇唐桑半島ビジターセンター&津波体験館 ホームページ
住所:気仙沼市唐桑町崎浜4-3 (2021/3/13訪問)
気仙沼漁港
日本屈指の水揚げ高(2019年実績全国11位。三陸では石巻に次ぐ)を誇る気仙沼漁港。東日本大震災により施設はほぼ壊滅し、同年6月から2013年7月にかけて復旧工事を行う。新気仙沼市魚市場総工事は2019年2月に完了。
漁港内の水揚げ風景は、誰でも館内の展望デッキから見ることができる。ガラスなどの仕切りもなく、すぐ目の前で作業が行われるため、魚種もよく分かり、非常に迫力と臨場感がある。ただし水揚げ作業が行われるのは、漁船の入港時に限られ毎日ではない。また屋上駐車場に併設された展望デッキからは、気仙沼湾を望むことができる。
今回訪問の3月13日は水揚げ作業がなく、これらの写真は2018年12月17日訪問時のもの。ビンチョウマグロ、ヨシキリザメ、モウカザメなど。
〇気仙沼漁港 ホームページ
住所:気仙沼市魚市場前8-25 (2021/3/13他訪問)
気仙沼海の市/シャークミュージアム、氷の水族館
気仙沼市魚市場に隣接した観光物産施設「気仙沼 海の市」。一階の飲食・物販スペースと、シャークミュージアム、氷の水族館などの展示施設などで構成される。震災の影響で長期休業していたが、2014年に全面再開。
一階の物販店舗は、三陸の海の幸の海産物や加工品が中心で、売り場の多くを地元の阿部長商店グループの店舗が占める。同社は気仙沼を代表する水産事業者であり、南三陸ホテル観洋、気仙沼ホテル観洋、気仙沼プラザホテルなどのホテル運営を手掛けている会社。少し湾奥に入ったところに、大型の水産物販施設「おさかな市場」も展開する。
当建物2階にあるのが「気仙沼シャークミュージアム」(入館は有料)。国内唯一のサメ博物館として1997年4月にオープンしたもので、被災後2014年4月に営業再開。
これまでのサメの博物館としてだけではなく、震災復興ミュージアムとしての顔も持つ形で、再スタートした。
もう一つ、当建物内にあるユニークな施設が「氷の水族館」(入館は有料)。気仙沼に本社を持つ岡本製氷冷凍工場が運営する。入り口で防寒着を渡されて入場すると、そこはマイナス20度の世界。
独自の製氷技術によって閉じ込められた、気仙沼港に水揚げされる80種類・450匹の魚が展示され、非常に面白いコンセプトでありつつ、少しシュールな空間でもある。
〇気仙沼 海の市 ホームページ
〇気仙沼シャークミュージアム ホームページ
〇氷の水族館 ホームページ
住所:気仙沼市魚市場前7-13 (2021/3/13、5/29訪問)
みしおね横丁/鶴亀の湯・鶴亀食堂
気仙沼魚市場すぐ前に2019年にオープンした、トレーラーハウスを用いてつくられた復興商業施設「みしおね横丁」。
旧フェリー乗り場近くに、2011年11月にオープンした「復興屋台村 気仙沼横丁」(下写真参考)のメンバーが中心となって企画されたそう。メキシカン、インドネシア料理、沖縄料理など、多彩で多国籍な飲食店が集結するが、看板塔的な存在といえるのが銭湯を併設した「鶴亀の湯・鶴亀食堂」。
港で働く漁師や関係者のために朝早くから営業しており(朝7時〜13時)、提供する料理も非常に本格的ながら常連向け設定の手ごろな価格になっている。
3月13日訪問時の「よくばり定食」は、メカジキのカマ煮とマグロの刺身がセットで1000円と素晴らしいCP。
▼参考 復興屋台村 気仙沼横丁 (2011/12/3撮影)
〇みしおね横丁 ホームページ
〇鶴亀食堂・銭湯 ホームページ
住所:気仙沼市魚市場前4-5 みしおね横丁 (2021/3/13、5/29訪問)
★外部ブログリンク/気仙沼市場前「鶴亀食堂」で、ふかのソースかつ丼、まぐろのピラピラ。前夜は「あさひ鮨」へ
商業施設ないわん/「迎」「拓」「結」PIER7「創」
旧気仙沼フェリー乗り場を中心に集積していた商業エリアが、再開発によって2020年7月に生まれかわりオープンした一角。
(※2019年4月の気仙沼大島大橋開通によって、気仙沼~大島間で就航していたフェリーは廃止。現在はクルーズ船のみが期間限定で発着する)
クルーズ船の待合ギャラリーを一階に併設する「気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ PIER7(ピアセブン)」(※「創」ウマレル)
「迎(ムカエル)」「結(ユワエル)」「拓(ヒラケル)」のテーマでブロック分けされた、3つの商業棟から構成される。
「BLACK TIDE BREWING(ブラックタイドブリューイング)」は、この「拓」に出店する気仙沼初のクラフトビールメーカー。2020年3月に醸造を開始し、クラウドファンディングで318万円ほどの資金を集め、本格スタートした。
醸造所も店内に併設され、中の様子を窓越しに見ることができる。
「BLACK TIDE BREWING」のビールの中からいくつか。非常に多くの種類を醸造しており、ラベルデザインが非常におしゃれで、味わいもアルコール度も多種多彩。
〇商業施設ないわん ホームページ
住所:気仙沼市南町海岸1-14
〇「BLACK TIDE BREWING」ホームページ
住所:気仙沼市南町3-2-5「拓」内 (訪問はいずれも2021/3/13)
あさひ鮨
この施設のすぐ裏手に、気仙沼を代表する寿司屋「あさひ鮨 気仙沼本店」がある。被災後、同年12月から仮設店舗で営業し、2017年4月に現在の新店舗をオープンした。
2018年12月にいただいたメニューの中から、気仙沼らしさを感じさせるもの。
同地を代表する味覚の一つ「フカヒレ」の姿煮と、フカヒレ寿司が2種入った「極めつけ」5,400円
〇あさひ鮨 ホームページ
復興道路/気仙沼湾横断橋、気仙沼大島大橋
震災10年を迎える直前、2021年3月6日に、三陸自動車道の気仙沼港IC~唐桑半島ICが開通。「復興道路」として整備が進められていた、仙台市と宮古市間の延長約126kmが全区間開通した。鳴瀬奥松島IC 以北は無料で開放。2021年度中に八戸まですべて開通予定。その途中、気仙沼湾の上を渡る「気仙沼湾横断橋」(愛称:かなえおおはし)は、全長は1344メートル。気仙沼の復興のシンボルと言える存在になっている。
▲気仙沼魚市場展望デッキから。奥に見えるのが、気仙沼大島大橋
東北最大の離島「気仙沼大島」と気仙沼市街を結ぶ「気仙沼大島大橋」(愛称:鶴亀大橋)。橋脚間の長さは297メートルとアーチ橋としては東日本最大の大きさ。2019年4月17日に開通し、これに伴いフェリー航路は廃止された。
(撮影はいずれも2021/5/29)
気仙沼大島ウェルカム・ターミナル/野杜海 (観光/商業拠点)
気仙沼大島大橋の開通で、ぐんと時間距離が縮まった気仙沼大島。それに合わせて、フェリー発着所の気仙沼大島ウェルカム・ターミナルを中心に再整備。
2021年7月に、飲食店を中心に構成される民間商業施設「野杜海(のどか)」がオープン。さらにウェルカム・ターミナルに、2020年6月に産直スペースが設けられた。
ちょうど2021年5月から始まった、2021年春のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の、主人公の故郷のモデルとして描かれているのが当地で、さまざまな掲示物が貼られるなど、盛り上がりを見せている。
〇気仙沼大島ウェルカム・ターミナル ホームページ
〇野杜海 ホームページ
道の駅「大谷海岸」
JR大谷海岸駅(BRT)に併設された道の駅。目の前に広がる雄大な海岸線を眺めながら買い物や飲食を楽しむことができる。2021年3月28日にオープン。
注目は、海側に設けられた展望デッキ
大谷海岸を一望することができ、デッキは常時賑わう。この施設自体も、常時駐車場が満車になっているほど人気。周辺はまだ整備が進められている。
すぐ近くの岩井崎は、長く塩づくりの地と栄えていた町。「潮騒ダー」は、震災で亡くなられた塩づくりの名人の遺志を受け継ぎ、復興への第一歩として再開した「岩井崎の塩」を用いて作られたもの。その岩井崎には「岩井崎塩作り体験館」があり、手軽に塩づくり体験をすることができる。
※下写真は、仮設店舗営業時のもの(2021/3/12撮影)。現在は解体済み。
〇道の駅 大谷海岸 ホームページ
住所:気仙沼市本吉町三島9番地 (2021/3/12、5/29訪問)
[参考] きっかけ食堂
東北の食材を使った料理やお酒を提供し、その味を通して、毎月11日だけでも東北や震災について考える「きっかけ」をつくりたいと、2014年5月に学生3人が立ち上げた団体。
気仙沼をはじめ、東北三県各地域の企業や自治体の協力のもと活動は年々拡大し、現在も全国(東京・大阪・京都・名古屋・仙台・島根・徳島・千葉・熊本)で定期的に開催している。 開催情報はこちらから
▲写真は「きっかけ食堂」からのご提供
〇特定非営利活動法人きっかけ食堂 ホームページ
■ 東松島市
東松島市東日本大震災復興祈念公園、東松島市震災復興伝承館、旧野蒜駅
震災の記憶と教訓を広く後世に伝えるため、旧野蒜駅プラットホームを軸に、復興祈念公園、震災復興伝承館などで構成。2016年に開館し、2020年にリニューアル。
旧野蒜駅プラットホームには、震災復興伝承館を通って実際に上がることができ、線路が曲がっていたり、ホームが陥没したりしているさまを間近にすることができる。
また震災復興伝承館では、被災の時間のまま止まった駅舎の時計や、当時のまま残された切符販売機なども展示されている。
〇東松島市震災復興伝承館 ホームページ
現在の野蒜駅は、もう少し海から離れた(海を見渡せる)高台に線路ごと移設。周囲には住宅地も造成されている。
野蒜駅 東松島市野蒜後沢 (2021/5/29訪問)
塩竈市
塩釜市東日本大震災モニュメント
塩釜港の最奥、千賀ノ浦緑地に2013年3月11日に設置。中心となるモニュメント「昇る太陽の塔」のデザインは全国からの公募によって選ばれたもの。高さは4.7m。
〇塩釜市東日本大震災モニュメント 震災伝承施設紹介ページ
住所:塩竈市海岸通196番4号 (2021/3/14訪問)
塩竈市津波防災センター
「マリンゲート塩釜」の隣に、2018年7月オープン。「東日本大震災」発災後の1週間に焦点をあて、そのとき何が起き、人々が何を求め、状況はどのように変化していったのかを記録、展示している。
〇塩竈市津波防災センター 市の紹介ページ
住所:塩竈市港町1丁目4番1号 (2021/5/29訪問)
マリンデッキ塩釜
塩釜市の海の玄関口「マリンゲート塩釜」と「イオンタウン」(ともに津波避難ビルに指定)を結ぶ連絡通路兼避難デッキ。
延長372メートルで、高さは震災時の周辺津波高4.7メートルを超える約6メートル。
2016年4月に完成。公募によって同年10月に今の名称がつけられた。
デッキからは石巻湾が一望でき、松島などに向かう遊覧船の出入港も眼下にすることができ、
冬シーズンは「かき鍋クルーズ」なども楽しめる。(下写真は2018/12/16のもの)
〇マリンゲート塩釜 ホームページ
住所:塩竈市港町1-4-1 (2021/5/29他 訪問)
塩竈市魚市場/塩釜海の駅
マリンゲート塩釜から湾を挟んで右手にあるのが、日本有数の産地魚市場として発展してきた塩竈市魚市場。 生まぐろの水揚げ高は全国で首位、めばちまぐろの漁獲も国内トップクラス。そのため、マグロの目利き力は国内でもトップクラスになるという(参考記事)。新市場は2017年10月に完成。
市場内は非常に明るく開放的で、体験型ミュージアムとしてさまざまな陳列がなされるほか
マグロの水揚げやセリの様子も見学することができる。
敷地内には「塩釜海の駅」も設置され、飲食や物販を提供。
残念ながらこの日はオープン時間前だったため、内部には入れず。
〇塩竈市魚市場 ホームページ
〇塩釜海の駅 ホームページ
住所:塩竈市新浜町1-13-1 (2021/5/29訪問)
塩釜水産物仲卸市場
買物としての市場機能は、塩竈市魚市場からすぐの場所にある「塩釜水産物仲卸市場」が担う。売り場4,950平方メートル、店舗数100店と、とにかく大きい。東北最大規模だそう。もちろん一般客も入店可能。
平日・土曜日はなんと朝3時から、日曜日も6時から営業(水曜日は休市)。見て回って気付くのは、マグロを扱うお店がすごく多いこと。その数は25にもなるそう。全国のマグロ船団の基地として、日本有数の生マグロ水揚げ量を誇る漁港ならではの個性だ。
もちろん場内には食堂があり、その中から「市場食堂 只野」へ。マグロをはじめ、多数の地域色豊かなメニューがあるなかで、ちょうど旬の三陸のムラサキウニの丼をチョイス。4,000円。
〇塩釜水産物仲卸市場 ホームページ
住所:塩竈市新浜町一丁目20番74号 2020/7/4訪問
★外部ブログリンク/塩釜探訪。夜は「しらはた」にぎり寿司。朝は塩釜水産物仲卸市場「市場食堂只野」で海鮮丼
■仙台市
仙台市立荒浜小学校
児童や教職員、地域住民ら320人が避難し、津波の被害から多くの命を守った場所。
耐震・改修工事が施され、2017年から震災遺構として一般公開されている。
校舎一階は、津波の被害を受けたままの状態が保持されており
3階はパネル展示やシアタールーム
被災前の町なみを再現したジオラマや、多くの寄せ書きが残されている。
屋上は避難場所として、きれいに整備された。
〇仙台市立荒浜小学校 ホームページ
住所:仙台市若林区荒浜字新堀端32-1 (2021/6/12訪問)
仙台市荒浜地区住宅基礎/荒浜記憶の鐘
荒浜地区には津波で流出した住宅の基礎部分が多く残されていたことから、荒浜小学校校舎と一体で整備し、2017年2月から震災遺構として公開したもの。
隣接地には、鎮魂のモニュメント「荒浜記憶の鐘」も設置されている。
〇仙台市荒浜地区住宅基礎 仙台市の説明ページ
住所:仙台市若林区荒浜字中丁 (2021/6/12訪問)
せんだい3.11メモリアル交流館
地下鉄東西線「荒井」駅舎内に設けられ、展示室・交流スペース・ワークスタジオなどからなる。
展示室は、震災被害や復旧・復興の状況などを伝える常設展と、東部沿岸地域の暮らし・記憶などさまざまな視点から震災を伝える企画展などで構成される。
〇せんだい3.11メモリアル交流館 ホームページ
住所:仙台市若林区荒井字沓形85-4 (2021/3/14訪問)
日和山
1996年7月に大阪市・天保山が山として認定されるまで日本一低い山だったが、東日本大震災の津波で削られ、標高3mの山であることが確認されたことで、再び日本一低い山となったという経緯を持つ。
山と言っても人工のもので、仙台湾に面した海岸にあり、新しくできた防潮堤に上ると見降ろす高さになる。
〇日和山 Wikipedia
住所:仙台市宮城野区蒲生87 (2021/6/12訪問)
津波避難施設
仙台市では、東日本大震災の津波により被害を受けた市東部地域の再生のため、2014年度から2016年度にかけて13カ所の津波避難施設を設けている(タワー型6カ所、ビル型5カ所、津波避難屋外階段2カ所)。さらに海側には「避難の丘」が複数造成されている。
ビルタイプの「岡田津波避難ビル」
通常は施錠され、緊急時のみ装置を外してはいることができる。下は、タワータイプの「新浜津波避難タワー」
〇仙台市/津波避難エリアと避難場所マップはこちらから
(2021/3/14.6/12訪問)
■名取市/閖上
旧鈴木英二邸
名取市の会社経営者、鈴木英二さんの旧宅。震災後、かろうじて残った建物を私費で修復して震災遺構として保存してきた。
しかし周辺の再開発に合わせて売却され、近く解体が予定されている(今春解体とのニュースがあったが、6月時点では現存しているとのこと)
〇旧鈴木英二邸 河北新報ニュース
住所:名取市下増田屋敷161-2 (2021/3/14訪問)
名取市震災復興伝承館
名取市閖上地区に設置された「震災復興伝承館」。コロナ禍の影響で開館が二か月遅れ、2020年5月にオープン。
“復興へのあゆみ”をまとめた展示スペース、震災以前の閖上の街のジオラマを設置したコミュニティスペース、シアタールームなどからなる。
ジオラマには、すべての建物に震災前にあった店舗名や住人の名前が記されている
〇名取市震災復興伝承館 ホームページ
住所:名取市閖上東1丁目1番地1 (2021/6/12)訪問
名取市震災メモリアル公園
閖上の旧中心街約3.35haの敷地を整備して2019年5月にオープンしたメモリアル公園。慰霊碑や960人の名が刻まれた芳名板を中心とする「祈りのゾーン」
古くからの地域のランドマークである日和山を中心としたこれからの震災復興の象徴を担う「日和山ゾーン」などで構成される。観光名所として多くの人が集まる「閖上朝市」エリアに隣接する。
〇名取市震災メモリアル公園 紹介ページ
住所:名取市閖上字五丁目142他 (2021/3/14訪問)
閖上の記憶
東日本大震災の翌年2012年4月22日に旧閖上中学校の入り口に誕生した「津波復興祈念資料館」。NPO法人「地球のステージ」によって運営される。
〇閖上の記憶 ホームページ
住所:名取市閖上東3丁目5-1 (2021/3/14訪問)
ゆりあげ港朝市/メイプル館
日曜日の朝だけ開催される東北地方屈指の朝市。非常に多くの観光客が集まる場所だが、値段は格安で店の種類も販売するものも地域性高く多岐に富み、”観光商売”ではない地域密着型のイベントになっているのが嬉しい。
上写真は2021/3/14。この下3枚は、2020/12/6のもの。
いずれも非常に安いため、各店で少しずつ買いまわってたくさんの味覚を楽しめる。
広浦に面したスペースでは、その場で買った牡蠣やホタテなどをバーベキューで楽しむことができる。
また誰もが参加できる体験型「せり市」があるのも大きな特徴。
朝市は日曜限定の開催だが、隣接する「ゆりあげ港朝市メイプル館」は常時営業。
地域物産の購入ができるのと、イートインスペースが用意されており、4店舗が出店している。こちらは閖上を起点に、宮城県で5店舗を出店している人気海鮮店「浜や」。
残念ながらこの日(2021/3/14)は、貝毒の影響で赤貝は提供できないとのことで、特上天空海鮮タワー丼を注文。生しらすトッピングで計1,899円。実は現在、閖上は生しらす漁の日本最北端の漁場になっており、新たな名物になっている。
〇ゆりあげ港朝市 ホームページ
〇漁亭浜や ホームページ
住所:名取市閖上東3丁目5-1 2021/3/14他 多数訪問
★外部ブログリンク/閖上朝市でせり鍋、ほっき飯などの食べ歩き&「カフェマルタ」で北限のしらすパスタ
かわまちてらす閖上/若草寿司
震災後の仮設店舗「閖上さいかい市場」からの流れを受け継ぎ、2019年4月に名取川の河畔にオープンした商業施設。
道路沿いは物販店中心に、川沿いは飲食店を中心とした構成。
川沿いの店舗は堤防道路と直結し、目の前に地域のシンボルでもある名取川の流れを望む。
物販店は長く地域に根差して営業している店も多く、海の幸の恵まれた閖上という街の特性もあって、店に特徴があり買い回りには楽しい場所。こちらは、手わざ笹かまぼこの店「ささ圭」。
そして日本最北限のしらす製品が多種揃った「鈴栄」、明治29年創業の老舗。店頭でしらす丼なども食べられる。ちなみに閖上のしらすの漁期は7~11月。
今回(2021/6/12)の食事は「若草寿司」へ。閖上の赤貝を地元で食べられる店として、まっさきに名前が挙がる寿司屋。
特に週末や昼は観光客向け要素が強い店ではあるが、営業は丁寧なイメージ。ただ「閖上の赤貝が全国区のブランドになり、地元でも東京相場と同じになってしまう。それがお客さまになかなか理解してもらいにくい」と話されていたのでご理解を。
看板の赤貝どんは、もずくと煮つけが突き出しに出て、写真の丼に赤貝のひもが付いて3,400円。新鮮なひもがたっぷり味わえるのがいい。※閖上の赤貝は7~8月は禁漁期間。一番いい時期は冬なのだが、貝毒の影響などで出荷が停まっていることがかなりある。近年はその頻度がさらに増している様子。
〇かわまちてらす閖上 ホームページ
〇若草寿司 食べログ
住所:名取市閖上中央一丁目6番地 2021/3/14、6/12訪問
■岩沼市
千年希望の丘
東日本大震災の津波により人が住めなくなった土地を活用し、市の沿岸約10kmにわたって整備された、6つの公園と園路からなるメモリアル公園。
仙台空港そばの「相野釜公園」には、2016年4月に「千年希望の丘交流センター」が開館し、震災からの復興に向けた取組みが、パネル展示や映像などで紹介されている。
「千年希望の丘交流センター」の前には、イベントなどができる多目的広場が広がり、慰霊のためのモニュメントも設置されている。
現在までに整備された避難丘は計14基。名前通り、緊急時の避難場所になるほか、津波の勢いを弱める効果もあるという。下写真は、2号丘から望む1号丘。
また同公園の内陸側には、2018年に復興道路が開通したが、これは「岩沼市かさ上げ道路」と呼ばれ、防潮堤とともに津波の破壊力を減衰させる機能と、有事の際の避難路としての役割を担うものとなっている。(下写真の、かさ上げ道路の先は仙台空港)
〇千年希望の丘 ホームページ
住所:岩沼市下野郷字浜177番地 (2021/3/14、6/12訪問)
■亘理郡(亘理町・山元町)
中浜小学校
1964年開校。東日本大震災時には、児童ら90人が校舎の屋上に避難し、大津波から多くの命を守っている。県南唯一の被災建築物として、2020年9月に一般公開された。
校舎のほうを指し示すのは、震災モニュメント「3月11日の日時計」
津波による被害を受けた当時そのままの姿が残る一階。※2021年5月2日の落雷によって、電気設備が損傷し、この日は館内までは入れず。
敷地内に一本だけ生き残った松
中浜小学校 中元町の紹介ページ
3月11日の日時計 紹介ページ
住所:亘理郡山元町坂元字久根22番地2 (2021/6/12訪問)
いちご団地/山元いちご農園、ICHIGO WORLD
東北最大のイチゴの産地、亘理郡(亘理町・山元町)は東日本大震災時の津波によって、95%もの農家が被災するなど壊滅的な被害を受けた。そこで地域産業の再建のため、国の復興交付金等を活用して、巨大ないちご団地が建設された。2012年10月に着手し、翌年9月完成。同年11月から本格的に出荷が開始された。
同エリアを回ると、いちご栽培の大型ビニールハウスを多くの場所で見ることができる。
その中でも最大の規模を誇るのが山元いちご農園。総面積3万2000㎡の敷地にいちごの苗が20万本超育てられているという。
いちご狩りが楽しめるのはもちろん、敷地内にはカフェもあり、名物のいちごカレーなどを提供。
苺狩りのオフシーズンも、カフェメニューは夏いちごなどを使って営業しているとのこと。
もう一件、いちごベンチャーとしてメディア露出が多い、株式会社GRAが運営するのが「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」
「食べる宝石」をキャッチコピーに、「ミガキイチゴ」ブランドで多彩な商品開発やメニュー提供などをしている。
「ミガキイチゴ」を使ったお酒も多種製造しており、今回はどぶろく(1,500円)を購入。浦霞とのコラボ酒も発売。
〇山元いちご農園 ホームページ
〇株式会社GRA ホームページ
・「ICHIGO WORLD」 ホームページ
・「ミガキイチゴ」 ブランドサイト
住所:「ICHIGO WORLD」 亘理郡山元町山寺字桜堤47 (いずれも2021/6/12訪問)