【マネジメントオブザイヤー】受賞記念メッセージ ヤマシタ 山下 和洋 様
ダイヤモンド経営者倶楽部「マネジメント・オブ・ザ・イヤー」受賞記念メッセージ
株式会社ヤマシタ 代表取締役社長 山下 和洋 様
「強い者でも賢い者でもなく、変化に対応できる者が生き残る」。昨年は、この言葉の意味をあらためて深く考えさせられた1年でした。コロナ禍の拡大を受けて、会社はどうあるべきか、事業や組織をどう回していくか、その見直しや改革をこれまで以上に進めていく必要があったからです。
2020年1月、私たちは福祉用具レンタルサービスの海外展開をスタートさせるべく、中国・上海市にて「山下福至(上海)健康管理有限公司」を設立しました。しかしその直後でした。武漢で都市封鎖が実行され、計画通り事業を進められない事態に陥ったのです。
そして、このコロナ禍の拡大は日本にも飛び火し、特にインバウンド市場に大きく影響するのではないかと考え、私たちの主力事業の一つ、ホテル向けリネンサプライ事業の物流再編や人員計画の見直しなど、先手を打って改革を進めていきました。
並行して、社内のコロナウイルス感染予防や、感染者・濃厚接触者に対するマニュアル作成といった対応策も次々と講じていきました。お客様にご心配をかけないよう、3月冒頭から一定期間、福祉用具レンタルの営業訪問活動を自粛しました。また、社員の感染を防ぐため出勤を車で相乗りしたり、テレワークの仕組みを考えたりと、さまざまな取り決めを作っていきました。
私が嬉しかったのは、これらの対応策が社内の自発的な動きから生まれていったことです。誰も経験したことがない緊急事態のなかでも、自主的に考えて動くことができる。社員一人ひとりに高い人財力があると実感できたことが、コロナ禍における最大の発見であり、最高の喜びでした。このように社員の頼もしい姿を見ることができたおかげで、私は安心して会社の中長期的な成長を考えることができました。
目先の危機対応だけでなく、将来も見据えて推進したのが、介護用品のEC事業展開です。M&Aで譲り受けたECサイトと既存のリアルビジネスを融合させることで、販売チャネルの新たな創造とそれぞれの事業シナジーを図っていきます。これが形になると、より良い顧客体験を提供でき、事業の幅も広がっていくと期待しています。
またベンチャー企業への投資を実施するなど、オープンイノベーションの取り組みも積極的に行っています。私たちにはない技術や知見を持った会社と協働し、互いに成長していくことが、今後の経営を考える上で重要なテーマです。
最近、私と同じようなファミリー企業の若手後継者から、経営の相談を受けることも増えてきました。私自身の経験を皆さんと共有していくことで、もっと成長を支援できる機会を作っていきたいと考えています。
振り返ると、2020年はさまざまな改革や施策を実行し、社内の人財力の高さを再確認し、コロナ禍という厳しい年でありながら将来の布石ができた年だと考えています。現場のオペレーションの見直しを徹底して行ったため、幹部メンバーとぶつかり合うこともありました。しかし、互いに忌憚のない意見を言い合うことでしか、本当の改革は進まないと思います。業界ナンバーワンと認められる企業になるために、今年はさらに飛躍する機会を作っていくつもりです。
そのためにも大切にすべきは、「正しく生きる、豊かに生きる」という私たちの企業理念。「ヤマシタと出会って生活がさらに豊かになった」、より多くの方にそう言っていただけるよう、サービスの質とブランド力向上に努めていくことが、これからの最大のミッションです。
最後に、あらためてダイヤモンド経営者倶楽部「マネジメント・オブ・ザ・イヤー」の受賞、ありがとうございました。心より嬉しく思っております。この名誉に恥じないよう、これからもみなさまの期待に応え続ける会社でありたいと考えております。