“不動産”の枠を超えたサービスの提供で社会のパラダイムシフトを支援【週刊ダイヤモンドMI連動】
不動産オーナーとテナントが、共に高みを目指す仲間として〝伴走〞していく関係でありたい。そんな強い情熱を持って、新しい不動産の価値を追求し続ける髙木ビル。敷金0オフィスなど入居にかかる経費を減らし、スタートアップの成長を支援する「次世代型出世ビル」、成長型フリーワーキングオフィス「BIRTH」など、独自のコンセプトを掲げたオフィスビルを次々に排出してきた。さらに〝髙木〞の〝はしごだか〞の文字になぞらえて、人と人、企業と企業を〝はしご掛け〞していく、コミュニティの形成にも力を入れる。
直近では、コロナ禍による社会のパラダイムシフトの進展を踏まえて、「ワークとライフのグラデーション」をテーマに置き、「BIRTHIN-RESIDENCE麻布十番」などの新コンセプト施設も開業している。
(週刊ダイヤモンド2021/3/27号P.79「マンスリーインフォメーション」より転載)
髙木ビルの強さをキーワードで読み解く ~取材こぼれ話~
東日本大震災での気づきが、事業の新たな展開の起点になった
東日本大震災が起きたのは、まだ私が入社して間もなくのことです。当時不動産業界はパニックの様な状態になりました。新しいテナントは入らない。耐震性は大丈夫なのかといった懸念が高まる。業界から撤退する会社もたくさんいました。
そのなかで大手オフィスビルは、入居者を引き留め誘致のために、市況度外視の破格の条件を提示したりする。そんな環境下で、私たちは今までのように堅実にじっと耐えるだけのスタイルのままでは、先の展望が開けないように感じたのです。そこで「不動産の価値をどう自分たちで創り出すか」について自問自答し続けました。
ハードに頼っていると、その価値は右肩下がりに減っていきます。そのなかで、「時間の経過に影響されない価値」を生み出していかなくてはならない。もちろんすぐに答えがあったわけではないので、入居者などいろんな人に会いに行きました。そして、不動産オーナーと入居者の間に予想以上の”距離”があったことに気づいたのです。
ビルという不動産に、企業として何をしたいのかという想いを乗せることが重要
起業家の方々にとって、オフィスを借りるということは大きな決断のひとつです。敷金や家賃など多額の費用が発生するわけですから、ある種”出血多量”の状態で入居されてくるわけです。私たちは今までそういうことに気付かず、ごく自然にその”血”をもらうだけの関係だった。そこに「再輸血」をしたらどうなるか。そこが考え方の起点です。
彼らは会社を大きくしようとしてやってくる。でも今までの不動産業界は、「大きくて安定した会社が入ってくれること」を良しとし、そこにルールの基準がありました。しかし私たちは「これから頑張って大きくするぞ」そういう決意を持った企業も受け入れていきたい。そういう思いから生まれたのが、「次世代型出世ビル」です。
ビルは建築物なので、それ自体で想いを発しません。そこに企業として何をしたいのかという強い想いを乗せることが、重要になってくると思うのです。
企業と企業、人と人をはしご掛けしていく
会社名の「髙木ビル」。この”髙”の字は旧字体で、よく「はしごだか」と呼びますよね。この「はしごだか」になぞらえて、私たちは企業と企業、人と人を”はしご掛け”していく存在であり続けることを、重要なミッションに置いています。みんなで成長していこう、そこに私たちはしっかり伴走していこう。ここにアイデンティティを置こうと。
その一例が、成長型フリーワーキングオフィス「BIRTH」であり、ここで開催するさまざまなイベントや交流会などです。
アクセラレートプログラムの実施なども考えていますが、一般的に言われるインキュベーション施設とはまた違うと思います。私たちが目指すのは”村づくり”のようなものでしょうか。村の中でいろいろな役割の人がいて、多種多様な人々が自生していて、みんなで楽しく生きていく。そんな世界づくりをしたいですね。
パラダイムシフトの先にあるのは、「ワークとライフのグラデーション」
よくワークを”オン”、プライベートを”オフ”と言いますが、それがしっくりこなかったんです。オンもオフもなく、活発に動いて、新しい価値を作ろうと。暮らすようにオフィスにいる。オフィスに来ているのか、プライベートなのかはわからない。コロナ禍でそれがより顕著になってきていますよね。
切り替えるのではなく、どうリラックスするか、わくわくするか。楽しんで働いたほうが良いし、休むためだけのプライベートではない。ですからグラデーションのように交じり合って、その時々のそれぞれのマイポイントを作る生き方が増えていく。私たちは事業を通じて、そんな環境づくりのお手伝いをしていきたいと考えています。
”91度”の人生を歩もう
私たちのフィロソフィーとして、91度の人生を歩もうというのがあります。90度はナチュラルに止まっている状態。89度はいくらあがいても進まない。91度はわずかだけど前に傾いて進んでいる。傍から見たら自分が89なのか91なのかはわからないけど、目に見えない2度の違いが人生を大きく変えていく。だからみんなが91度にいようと。毎日91度でいると、一年間で想像以上に前へ進んでいくんです。私たちは、そんな人生の伴走者になりたいのです。
会社概要
株式会社髙木ビル
代表取締役社長 髙木 秀邦 氏
資 本 金: 9,600万円
創 業: 1961年4月
従業員数: 25名(グループ会社含む)