【コロナ対策事例】予期しない危機を踏まえた事業のありかたの見直し
オフィスビル・コワーキングスペース・レジデンスの開発・賃貸ならびにその管理運営業務を手掛ける、株式会社髙木ビルの取り組みや思想を紹介します。
【取り組み】
今回の新型コロナウィルス感染拡大は、あらためて自社の事業の在り方を深く考える機会になっている。予期もできない危機などの有事を乗り越えるために何が大切になるのかと。
実は当社は2011年の東日本震災の際に、大きなダメージを受けている。それは震災そのものの被害ではなく、市場の混乱に伴って大幅値引きを展開した「大手オフィスビルや、当社より新しい建築のビル」に入居テナント様がこぞって移転してしまったことだ。テナント様にとってはハード面で当社より優れたビルが格安ならば当然の判断だった。当時、我々には引き留める「すべ(価値)」がなかった。
この時に、ビル事業はハードやスペックだけに頼った「ビルを建ててその空間を貸すだけ」では立ちいかなくなることを痛感し、テナント様と共生できる当ビルならではの「新しい価値」が必要であると考え、「100年価値を継続できるビル」を自社の新たな経営フィロソフィーに掲げた。
以後、設計・耐震力・設備の高スペック化を目指しただけのものでなく、「住みやすい選ばれるオフィスづくり」のためには、ビル経営の想い・理念といったソフト面の価値創出が必要であること考え様々なサービスを生み出した。
移転時に企業負担となる眠る敷金(現金)をテナント企業の成長資金へとキャッシュバックする「出世ビルプロジェクト」、また企業成長時にコストをかけずにオフィス拡張ができ、る成長伴走型コワーキングオフィス「BIRTH」等を開発し運営している。結果、起業に始まり当ビル内での成長移転を展開する企業が増え、ビル事業における自作自農の様な「共に成長する土壌」となることができた。
管理面では、4年程前から災害発生時にビル管理業務については有人での対応に限界があると予期し、設備投資を行い機械警備に順次切り替えて対応。今回の状況においても管理人の出勤負担が軽減できる結果となっている。
また、ハード面においても、現在、髙木ビル本社が入る自社設計のビルでは、近年の中高層のオフィスビルでは珍しく窓開閉できる設計にしている。これは建築時には倍のコストがかかるが、いざ災害時等に電力の問題で空調が止まることも予期される為、その対策としての設計だ。そのため今回の新型コロナウィルス対策においても、オフィス内の換気を十分できる環境となった。
これらはすべて「100年という時間軸」でビル経営を見つめ直し、新たな価値を創造すべく進めてきた取り組みの一部である。
会社概要
株式会社髙木ビル
代表取締役社長 髙木秀邦
本社所在:東京都港区西新橋一丁目7番2号
TEL:03-3595-1221
設立:昭和36年4月20日
資本金:9,600万円
事業内容:オフィスビル・マンション・駐車所の開発・賃貸ならびにその管理運営業務