【優秀企業賞】受賞記念メッセージ いまでや 小倉 秀一 様
ダイヤモンド経営者倶楽部・優秀企業賞 受賞記念メッセージ
株式会社いまでや 代表取締役社長 小倉 秀一 様
2020年はコロナ禍の拡大によって飲食店は軒並み苦戦しており、私たち酒販店業界にとっても大変厳しい一年でした。当社はこれまで売上の大多数が飲食店向け(BtoB)であったことから、この数十年来初めてという減収になりました。それも全体で30%ほどの激減。BtoBに至っては40%もの落ち込みとなり、今までにない苦しい日々が続きました。
しかし一方で、「ピンチはチャンス」の言葉通り、たくさんの可能性と将来への新たな道筋が見えてきた年でもありました。
例えば、(インバウンドの影響が大きい「銀座シックス」の店舗を除き)小売部門は堅調な伸びを見せ、特にECにおいては前年倍増以上のペースで伸びています。さらにそのお客さまの75%が新規という点も、今後に大きな期待を感じさせるものです。
もちろん、落ち込んでいると言ってもBtoB部門は当社の事業の柱ですから、コロナ禍でも手を抜くことなく新規開拓は続けています。
優良飲食店のみなさんも、この環境を生き抜くのに必死ですから、新たなサプライヤーを探していたりします。そこに私たちがこれまで培ってきた商品力や(売上向上のための)提案力が生きてきます。さらに言えば、業界全体が弱っているからこそ、積極的に攻めの意識を持ち続けることで新たな市場が開けてきます。その結果、新規口座は着実に増えており、これがコロナ禍終息後の大きな財産として生きてくると考えています。
そしてBtoBの実績をベースにしながら、成長中の小売りやEC事業、すなわちBtoCの営業力を大きく伸ばしていくことが今後の大きなテーマです。さらに「新しい商流」の開拓は様々な方法を考えており、富裕者層のマーケットの開拓や中国を主対象とした越境ECなど、いくつもの道筋が見えてきました。
BtoC戦略においては、「銀座シックス」内に店舗を持っていることがブランド力構築において大きな意味を持ってくると感じています。さらにブランドロゴを統一したり、店舗・事業毎の立ち位置や顧客対象を明確にしたり、さまざまな取り組みを進めています。
一方で自社だけでなく、より広く業界や社会、食文化の今後を盛り立てていくためにも、生産者や優良飲食店(質飯店)とのコミュニケーションをより一層深め、ニーズに寄り添いその期待に応えていくことが求められます。
キーワードになるのは「パートナー」。これまでの「販売特約店」といったイメージではなく、「パートナー特約店」という考え方になってくるでしょう。そして蔵元の皆様にも協力を仰ぎ、新市場を創造しうる商品を開発したり、マーケットメーカーとしての機能も必要になってくるはずです。
積み重ねてきた歴史や実績を大切にしながらも、新たね取り組みにも果敢に挑戦し、さまざまな期待や可能性を担っていく。どんな環境下であってもしっかり種をまきながら、次なる時代につなげていきたいと考えています。