目利き、物流インフラ、ホスピタリティ。物流会社として培ってきたこれらの強みを生かして、どんな新しい事業をつくり出すか、コロナ禍をどう乗り切っていくか。ドリーム・ケイの武藤里佳社長が白羽の矢を立てたのは、こだわりのフルーツを直接消費者のもとに届ける通販事業だった。

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■フルーツの魅力や価値を、直接お客さまに伝えられる仕事がしたい

口コミでお客さまが増えていく過程で、新たなニーズとして顕在化してきたのが、個人からの依頼だ。経営者仲間を中心に、お中元・お歳暮、お祝いの品、あるいは社員にプレゼントするためだったりと、ギフトの相談を受けることが増えてきたのだ。ここで武藤は、「フルーツの通販」を新たな事業の柱にできないかと考えるようになる。

これは一方で、コロナ禍の苦境からの脱出策でもあった。「売上の約半分を占めていたホテルや飲食店向けの売り上げが激減したのです。さらにいえば、年を追うごとに納品が価格勝負になってきた。”おさめや”的な仕事をしていると在庫負担のリスクもある。今までの事業のあり方を見つめなおす時期だと感じたのです」

そして何よりも、武藤らしい仕事にかける思い。「フルーツは、季節・地域・品種・作り手によって、さまざまな味わいがあり、美味しいだけでなく心も浮き立たせてくれるような商品です。美味しさや魅力をお客さまに直接伝え、付加価値が勝負になる、そんな仕事をしていきたかった」。その情熱が次なる起点となった。

■物流会社だからこそ、早く安くより良い商品を届けることができる

EC事業において、重要なキーワードとして挙がるのが「ラストワンマイル」という言葉だ。良い商品と顧客があっても、その間をスムーズにつなぐインフラがないと、納品スピードは遅くなり、鮮度が落ちる。配送料が高くつき、消費者の支払総額が高くなってしまう。そこに同社のアドバンテージがあると考えた。

市場や産地との信頼関係の積み重ねがある、目利きができる、自社でトラックを持っていて直接配送できる。社員一人ひとりのホスピタリティの高さにも自負がある。「特に港区・中央区・千代田区なら、既存の配送ルートに乗せることが可能で、最短お客さまからの依頼に合わせて翌朝市場で仕入れし、その日中に配送することもできます。これは大きな優位性になるはずだと」

「このエリアには富裕層が多く、そういう方々との日々のお付き合いの中で仕事の幅が広がっていく点も強みになっています」。そう語るのは、仕入れの責任者であるバイヤーの須崎高賜氏(上写真左)。長年、豊洲(築地)の有名青果仲卸で働いており、産地・顧客共に多彩なネットワークを持っている存在だ。

「野菜を届けると、後日料理したものをいただいたり、旅先のお土産をいただいたり、そんなことがよくあります。そういう関係作りから生まれる仕事の価値を大切にしていきたい。そこにこそ私たちらしさがあり、独自の強みになっていくのではないでしょうか」

■果物や野菜の販売を通じて、ふれあいを作ることができる会社へ

「そういったお客さまからいろんな相談がいただける、コンシェルジュのようなポジションを担っていけたらいいですね」と、武藤社長も言葉を続ける。

「ネームバリューで見たら、超有名なブランドにはとても太刀打ちできません。それでも、本当にいいものを、中間マージンも少なく、安く出せる。スピーディに対応でき、より良い鮮度でお届けできる。その価値を理解していただける人は必ずいるし、そういう方々が増えてきたら、事業の裾野も広がっていくはず。慌てることなく、地道に実直に取り組んでいきたいですね。

ギフトとして贈られた方が、その商品価値に満足し、また次のお客さまになって私たちを利用していただける。そんなプラスのサイクルを作っていきたいですね。そして、一緒に産地見学に行ったり、消費者と生産者、消費者同士などが交流し合えるような場所も。

単に売る・買うだけではなく、果物や野菜の販売を通じて、ふれあいを作ることができる会社へ。それこそが私たちが目指していくべき姿だと考えています」

(※後日談 )

これまでも同社への依頼は「おまかせ」であることが多く、ドリーム・ケイがその季節ならではのものを市場で吟味して詰め合わせし、ギフトとして仕上げてきた。そのスタイルをより明確に仕組み化した、サブスクリプションサービスをこの春(2023/4/20)から開始した。その名も「季節のフルーツセット／季節の野菜セットの定期便」。価格も3,000円、5,000円(消費税込)とお手頃な設定となっている。

○コーポレートサイト　https://dreamkei.com/
○フルーツ通販サイト　https://dreamkeinomi.official.ec/