「不動産とＩＴ技術を融合させてスマートなくらしをサポートする」をコンセプトに、入居者向けアプリやコールセンター、スマートIoTツールを用いた内覧サービスなどを展開。創業事業のスマサポサンキューコールは、約400社の不動産会社と取引があり、そのネットワークを生かした入居者アプリ「t o t o n o（トトノ）」を次なる事業の柱として強化中だ。

強みとなるのは、不動産会社発ベンチャーとしての業界への知見と、ＩＴの開発・運用力を併せ持つこと。疎遠になりがちな管理会社と入居者との距離を近くし、入居満足を向上するサービスを追求することで、管理会社の新たな収益確立を支援。まずは業務効率の改善支援をテーマに、幅広い企業と提携を進めながら、〝三方よし〞を創出するプラットフォーム構築を目指す。

(週刊ダイヤモンド2021/7/31号P.28「マンスリーインフォメーション」より転載)

スマサポの強さをキーワードで読み解く　～取材こぼれ話～　　　　　　　　　　　　　　　

管理会社と入居者との距離を近くすることで、入居者満足と管理会社の収益向上を支援

住まいを探す際、入居者は不動産仲介会社を窓口に商談を進めますが、物件が決まると仲介会社から手は離れ、その後は物件を管理する不動産管理会社が窓口になります。その関係は、その物件に住んでいる間ずっと続きます。

そういう密接な間柄でありながら、実は管理会社と入居者の距離は近くありません。契約更新の際やマンションの点検や修繕のお知らせ時を除けば、ほぼ「クレーム」や「家賃不納時の督促」といったネガティブな関係ばかりになりがちです。「それは非常に不健全な状態ではないか」「双方のコミュニケーションが進めば、お互いにいい関係になり、もっと良いくらしにつながっていくのではないか」。そういう着想が、私たちの企業の原点にあります。

その端緒となった事業が、「スマサポサンキューコール」です。これは当社コールセンターが、入居のお礼の電話に始まり、満足度調査や新生活サポートのご案内などを行うもので、これまでに約400社の管理会社に導入いただいています。

その後、大きく成長してきたのが「スマサポ内覧サービス」です。これはアプリと独自のキーボックスを組み合わせることで、通常の鍵のやり取りを不要にし、内覧を手軽に実施できるようにしたものです。管理会社にとっては鍵の管理や立ち合いなどの手間を大幅に削減するとともに、アプリ上でログを取ることで、内覧データをしっかり管理することができます。コロナ禍によって、対面機会を減らしたいニーズにも合致しています。こちら不動産管理会社約50社（約5,000店舗）で採用いただいています。

入居者、管理会社、関わる全ての人がWinWinとなるプラットフォームへ

今後の事業の柱として注力しているのが、入居者アプリ「totono」です。これは入居者の利便性の向上を図るものであり、一方で管理会社の業務効率化を支援するものでもあります。入居者は必ずダウンロードする必要があり、その中に基本的な契約情報やチャット機能など、入居者と管理会社をつなぐ情報やサービスが多数入っています。その代表的な例として、私たちが集積してきた膨大な管理実務をもとに作成したFAQがあります。管理会社に確認したいことやトラブルへの対応方法など、入居者が知りたいあらゆる情報がいつでもすぐに確認でき、自己解決を促すことのできるすぐれものです。

一般的に住まいに関するトラブルは既に管理会社の業務が終了した夜に発生することが多いですが、「totono」があれば、管理会社に電話がつながらなくても、対応方法がすぐに分かります。入居者にとって便利なアプリですが、管理会社にとってもトラブルや相談対応に割かれる時間が大幅に軽減される画期的なツールです。また掲示板システムも、非常に便利です。管理会社は、アプリ上にエレベーター点検のお知らせや工事のお知らせ等の情報を掲載し、プッシュ通知によって入居者に知らせることができます。現地に貼り紙をする必要がなくなり、入居者の見落としリスクを軽減することもできます。

このような現場視点に立ったきめ細かいサービスの作り込みは、単にシステム開発会社として生まれたのではなく、不動産管理会社の社内ベンチャーであったことの経験や知見が大きな強みになっています。

こうして管理会社と入居者の距離が近くなり、お互いの情報共有が進むと、そこに新たなビジネスチャンスがたくさん生まれてきます。それが私たちの今後の大きなテーマです。入居する、退去するというのは大きな生活シーンの転機ですし、住み続けることで求められる情報やサービスもたくさんあります。そこに当社や管理会社が適切な情報を提供することで、入居者サービスを向上させながら、管理会社の新たな収益源確保にもつながる、みんながWinWinになれるプラットフォームが構築されていくはずだからです。

まだ今年春から本格的に営業を開始したばかりですが、すでにお付き合いいただいている管理会社の方とお話しをすると、非常に興味を持っていただけます。内容をご理解いただくには、しっかり顔を合わせて説明しないといけない部分はありますが、そういう手間を惜しまずに営業できるのが私たちの強みであり、今後拡大のペースを上げていきたいと思っています。

そして利用者が増えるほどに、提供するサービスの質や量も上げていく必要が出てきます。まずは管理会社の手間を軽減できるような便利なサービスから、そして住まう方にとって役立つサービスへと機能を増やすべく、今後さまざまな企業と積極的に提携を広げていきたいと考えていますので、ご興味いただけましたら是非お声をおかけください。

会社概要

株式会社スマサポ 代表取締役 小田 慎三 氏

設　立: 2012年4月
資本金: 1億7,500万円（資本準備金を含む）
従業員数: 65名（契約社員・アルバイト含）
年　商: 18億5,900万円（2020年9月期）

https://www.sumasapo.co.jp/