会員企業様情報

SDGsをテーマにステンレスボトルが伸長、さらに調理家電を次代の柱に【週刊ダイヤモンドMI連動】

ピーコック魔法瓶工業株式会社
2021/08/20

1950年に輸出用ガラス魔法瓶製造会社として産声を上げて70年超。蓋部分がランプのようなデザインの「グランドポット」の大ヒット、世界初の回転式ポットの開発、「クイズ タイムショック」のメインスポンサーになった効果などで、今に至る経営の基盤が形作られていった。

現在の商品構成はステンレスボトル、まほうびん、調理家電など。主力のステンレスボトルは、2015年の山中千佳社長就任以降、女性目線を採り入れたデザインや質感を追求。SDGsもテーマに掲げ、「AMZシリーズ」が人気商品となる。さらに”3次元アーチ構造”のプレートを用いた煙が出にくい焼肉器、電子レンジで加熱した料理を”保温調理”するリビングジャーなど、新しいコンセプトの調理家電を積極的に開発し、次なる柱に育てている。

(週刊ダイヤモンド2021/7/31号P.64「マンスリーインフォメーション」より転載)

 

ピーコック魔法瓶工業の強さをキーワードで読み解く ~取材こぼれ話~          

回転式魔法瓶の大ヒット。クイズタイムショックのCM効果で事業基盤を拡大

魔法瓶というのはもともとイギリスが発祥の地で、1900年代初めに日本に持ちこまれまたものです。

実は国内では、魔法瓶の会社はほぼ大阪に集中しています。それは当時、魔法瓶はガラス製のもので、大阪に主要ガラスメーカーが揃っていたからです。最も多いときは、国内に魔法瓶メーカーは50社ほどありました。

輸入技術から始まった商品でしたが、やがて日本の魔法瓶はその技術力が世界的に認められて、輸出産業として大きく花開きます。昭和22年には、年間1200万本もの魔法瓶が生産されていたといいます。特に中東諸国向けが盛んで、当社もサウジアラビア向けではトップシェアを誇っていました。

会社の成長の転機はいくつかありますが、一つは蓋部分がランプのようなデザインの「グランドポット」の大ヒット、世界初の回転式ポットの開発、また「クイズタイムショック」のメインスポンサーになったことなどがあります。当時の規模で、超人気番組にCMを出すのはかなりの決断だったと思いますが、これは想像以上に効果が出ました。

その後、湯沸かし機能を追加したり、ジャーや電気ポットを開発したり。昭和50年代までは8割が輸出向けだったのですが、為替リスクの問題などから、国内営業を強化しようと、現在の本社がある場所に工場を建設し、電気製品の開発に力を入れていきました。

平成の時代になって、事業の主力はステンレスボトルになり、現在の売り上げに占める割合は5割近くになっています。

 

女性目線を生かした商品開発を重視。電気焼肉器などの調理家電も次代の柱に

私が社長に就任したのは2015年7月です。以降、商品開発において重視してきたことの一つに、女性目線をしっかり取り入れていくことがあります。

実はユーザーの中心が女性層であるにもかかわらず、それまで当社では男性の発想で商品開発が進められがちでした。そこをよりユーザーの感性に近い形で見直していったのです。例えばカラーリング、蓋の開け閉めの力加減、飲み口の角度、洗いやすいように部品点数を減らす。また手ごろなサイズを増やしたり、ハンドル(持ち手)をつけたり、ストロー付きなどのバリエーションも増やしていきました。それらの中でも、200mlサイズのAKB-20(下写真左2つ)、シンプルなデザインのAMZシリーズ(下写真右3つ)などが人気商品に育っています。

技術面では真空加工が肝になります。真空部分を作ることで、保冷保温の機能が確保されるのですが、どれだけ薄くコンパクトにしながら、その機能を担保できるか。現在の商品の真空部分は1.5ミリほどで、以前の1/2ほどに圧縮しています。

近年、SDGsが大きな社会テーマになっていますが、まさにステンレスボトルは「脱プラ」の象徴的な存在です。私たちも3年ほど前から、SDGsをビジネスの軸に置いた経営を志向しています。より多くの人に使っていただける環境づくりのためにも、商品開発はもちろん、「街中の給水サーバー設置」を始め、さまざまな協力関係を広げています。

 

一方で、新たな事業の柱として力を入れ始めているのが、調理家電の領域です。例えば、「家族サービスのため、父親がプロ並みのステーキを振舞う」というストーリーから生まれたステンレスホットプレート(下写真左)。あるいは、新開発の“3次元アーチ構造”を搭載し、煙をとことんまで抑えた電気焼肉器(下写真右)。

さらにはレンジで調理したもしくは加熱した料理を、保温+余熱調理で美味しさを持続する「イルマ リビングジャー」など。

そこには、今までの概念にとらわれない自由な発想で、新たな食のスタイルを提唱していくことが大切な視点としてあります。

そしてこれらの方向性を社内でしっかり共有するためにも、3年前に理念を再構築し、『「食」に「感動!」を』というフレーズを新たに掲げました。既存のマーケットで、いわゆる同業の方と同じ土俵で戦うばかりではなく、新しい付加価値をどれだけ創造していくことができるかどうか、自ら新しい市場をつくっていけるかどうか。

ご家庭の食卓のあらゆるシーンに私たちの商品があり、幸せな時間のお手伝いをしていく。そんな会社であり続けたいと考えています。

 

会社概要

ピーコック魔法瓶工業株式会社
代表取締役社長 山中 千佳 氏

創 業:1950年9月
資本金:3,000万円
社員数:80名
年 商:33億700万円(2021年3月期)

https://www.the-peacock.co.jp/

 

 

 

pagetop