機能性表示食品開発で高い優位性を持つ「ファイトケミカル」の専門企業【週刊ダイヤモンドMI連動】
創業時に掲げた「社会公衆の福祉増進に寄与する」という使命を70年超にわたり受け継ぎ、「植物化学(ファイトケミカル)」の専門企業として、機能性や抽出・精製に関する多様なノウハウを蓄積。その愚直なまでの研究・技術開発力が、機能性表示食品制度の開始によって脚光を浴び、国内外2000社超と取引実績を持つほどに大きな飛躍を見せる。
同制度向けの主力製品は、ラフマ、ビルベリー、イチョウ葉などで、いずれも高いシェアを誇る。さらに多様なニーズに応えるため対応素材を10製品まで拡充し、植物由来の機能性表示食品においてトップシェアを目指す。
直近では「健康経営」に注力し、社員による社員のための「健康経営サプリメント™」を開発。当初は社内向けだったが、問い合わせが多く、今秋よりビジネス化を図り外販も予定している。
常磐植物化学研究所の強さをキーワードで読み解く ~取材こぼれ話~
「植物に感謝し、生かされる会社になる」の一文を理念に追加
「社会公衆の福祉増進に寄与することを念願として設立するものであって、単に営利のみを目的とせず、一半の力を植物化学の発達にも投ぜんとするもの」。これは1949年に創業した当社の設立趣意書に書かれた一文です。
創業社長の松尾仁は、国立衛生試験所(現 国立医薬品食品衛生研究所)所長の出身、一緒に立ち上げた祖父の立﨑浩は内閣企画院で医薬品の管理に携わっていました。出資者には、厚生事務次官も務めた亀山孝一氏も名を連ねるなど、まさに国策ともいえるような形で会社が生まれたことが私たちの大きな特徴としてあります。
そういった創業の経緯もあり、私たちは理念を非常に大切にしてきた。経営の根幹は何よりもまずその点にあります。
その理念は、「植物のちからを引き出し、新たな価値を創造します」「最高の技術で、最高の製品を製造します」「社員の幸福と社会の発展に貢献します」の言葉で表してきました。
そして2020年、新たに一文を追加しました。それが「植物に感謝し、生かされる会社になります」というものですかねてから「感謝」「生かされる」という表現を入れたいと思っており、その気持ちはコロナ禍でより強く感じるようになりました。
振り返ってみると、これまでの理念は「引き出す」「創造・製造」など、どちらかというと「人間優位」のニュアンスがありました。しかしそうではなく、植物や自然に身をゆだね、視座を植物より下に持っていくべきではないかなと。
昨今、「サステイナビリティ」が議論されることが増えていますが、最終的に大事なのは生かされているということを認識することではないでしょうか。おそらく理念に「生かされている」という表現が入っているのは特長的であり、こういった考え方は今後、社会の最先端になっていくのではないかと思っています。
「機能性表示食品制度」向け原料、3本の柱からさらに多彩に提供
機能性表示食品制度は2015年4月に始まったものです。創業の経緯からも、私たちは「植物化学(ファイトケミカル)」の専門企業として、機能性への理解や抽出・精製に関する多様なノウハウを蓄積してきており、その知見がこの制度が求めるものに見事にマッチしました。ある種「神風」が吹いたように、業容の幅は一気に広がりました。
以降、ラフマ、ビルベリー、イチョウ葉を3つの柱に、機能性表示食品向けの原料の製造・販売を拡大。特にラフマは市場占有率100%、ビルベリー、イチョウ葉も、業界内での高いシェアを獲得してきました。
現在は、市場のニーズの広がりに対応できるように、原料のバリエーションを広げているところです。温める効果を持つショウガ、空腹時血糖値を下げるバナバ、骨の成分を維持する大豆イソフラボン、おなかの脂肪を減らす茶カテキン、美肌関係で米由来のセラミド、目の調子を整えるルテインなどを新たな柱として育てています。
さらに、黒ウコンや月桂樹の葉のエキスも、tokiwaならではの強みを持つ原料として、近々リリースする予定です。
「健康経営」を掲げ「健康経営サプリメント™」を開発。新たに外販も予定
私たちは、「社員の幸福と社会の発展に貢献する」ことを経営理念に掲げ、社員の健康こそが社員の幸福と全事業におけるサステイナビリティ活動の根幹であると考えています。その一つのキーワードに「健康経営」があり、なかでも当社の技術やノウハウを生かした取り組みとして、近年注力しているのが「健康経営サプリメント™」です。
これは”社員による社員のため“の商品で、自分たちの健康のために良いものをということから内発的に生まれたものです。現在は食堂に置いてあり、社員なら誰もが好きなタイミングで自由にとって飲むことができます。評判も非常に良くて、8割以上の人が何かしら効果を体感しているようです。
そんな話をすると興味を持たれる企業様もいられて、対外的な販売も手掛けていこうかと考えているところです。とはいえ、そもそも社内向けに開発したものであり、一気に大きなマーケットを狙うというよりは、私たちと同じように「健康経営」に注力している企業向けにピンポイントで提供するところから始めていきたいと思っています。
重視しているのは、社員個人の負担によるものではなく、企業の福利厚生の一環として取り組んでほしいということ。特にコロナ禍において、ストレスをため込んでいる方が多くなっている現状があり、「コロナ不眠」「ストレスチェック」「健康経営の偏差値化」などに課題感を持たれる方に、是非関心を持っていただければと考えています。
会社概要
株式会社常磐植物化学研究所
代表取締役社長 立﨑 仁 氏
創 業: 1949年10月
資本金: 7,750万円
社員数: 110名
売上高 : 34億5000万円(2021/3月期)
ホームページ https://www.tokiwaph.co.jp/
(週刊ダイヤモンド2021/6/26号P.77「マンスリーインフォメーション」より転載)