人材力とナレッジ力の高さで顧客の期待に応えるインソーシング企業【週刊ダイヤモンドMI連動】
「設備と敷地を持たない製造業」をコンセプトに、インソーシング（請負）、技術者派遣などを軸に事業を展開。強さの基盤にあるのは、新卒採用・常勤雇用の人材体系、徹底した「トヨタ生産方式」研修に表れる中長期的な人材育成力、多様な請負実績をベースとした、カイゼン分野でのナレッジ力の高さなどが挙げられる。顧客以上に顧客の事業を知り抜くパートナーとして、設備の導入や入替、工場新設の相談などから任される例も多い。
主たる領域は、自動車産業向けを起点に医療・食品分野へ。さらにFUN to FUN社のＭ＆Ａにより、流通部門や第一次産業などにも拡大している。直近では、豊富なデータを生かした労災防止ＡＩサービス「ＨＡｉｏ」に注力するほか、海外展開やＤＸ／ＩｏＴ支援なども今後の大きなテーマだ。
(週刊ダイヤモンド2021/3/27号P.78「マンスリーインフォメーション」より転載)
平山ホールディングスの強さをキーワードで読み解く ～取材こぼれ話～
設備と敷地を持たない製造業
私たちの主事業は、インソーシング・派遣事業、技術者派遣・受託開発事業からなり、特にインソーシングの割合が8割ほどと中心を占めています。インソーシングという言葉にはなじみが薄いかもしれませんが、多くは請負やアウトソーシングなどと呼ばれているものです。アウトソーシングという言葉はアメリカなどには通じないことから、私たちは独自にインソーシングという言葉を使っています。
インソース事業は、お客様の中に入って仕事を請け負うわけですから、人材派遣と違って製造業という認識となります。証券取引所の区分でも、当社は製造業の分類になっていますし、私たち自身も「設備と敷地を持たない製造業」としての強い自負を持っています。
お客様は、当初の成長期は大手自動車産業向けが中心を占め、最近では医療と食品の分野が増えています。なかには1000人規模で入って、幅広い部門で業務を任せていただいている会社もあります。さらに直近では、FUN to FUN社をM&Aしたことで、食品産業やスーパーなどの小売り、農業などの第一次産業にも領域を広げています。これらは正社員ではなく、パートや派遣が適する業態ですから、その領域に強い同社をグループにすることで、お互いに補完し合い相乗する関係ができてきました。
新卒採用・常勤雇用で、長いお付き合いができる関係を構築
このようなお客様からの信頼や、長くお付き合いができる関係の基盤となっているのが、私たち独自の人材育成の仕組みです。まず採用は新卒が主体となっており、最近でも毎年300名ほどが入社しています。
お客様に派遣するのは、いずれも正社員になりますから、期間の定めがない長期派遣が可能です。一方、すべてが正社員であることで、中長期的な視点で人材育成を図ることができ、その蓄積が大きな強みとなっています。
起点となるのは「ソロフライトプラン」。入社から3年間かけて、社会人としてのマナー、品質管理・生産管理、さらにはリーダーとしての教育までびっしり行います。また「トヨタ生産方式」も、OBを数十人ほど招き入れるなどして、徹底した習得に努めています。
このような徹底した教育の仕組みにより、顧客企業の社員に負けないだけの技術やスキルを身につけたり、あるいは幅広い業界や企業の仕事で得たノウハウにより、お客さまの期待を超える提案が出来たりもします。実際、設備の導入や入替、工場新設の時など、上流工程から幅広く相談をいただいています。
ポイントになるのは、お客様と私たちの利害が一致すること。派遣の場合、より多くの人を多くの時間提供したほうが売り上げは増えますが、私たちはインソース事業が主体ですから少しでもコストを抑えたほうが経営的にプラスになります。生産性を上げ、無駄なコストを減らすためにカイゼンを続ける。その積み重ねが双方にとってプラスになることで、私たちの強みが発揮されやすくなるのです。
アナログとデジタルを融合した仕組みづくりと、その活用ができる人材を育てる
私たちの今後の大きなテーマの一つとして、アナログとデジタルの融合が挙げられます。請け負いで得たアナログなノウハウをすべての原点に置きつつも、その実績があるからこそシステム化を推進していくことができる。その相乗をどう高めていけるかが、私たちの命題です。
例えば、製造や品質管理だけでなく、販売管理の仕組みなどもワンストップで構築できることができるでしょう。また海外拠点とデータを共有し、グローバルで情報の指示や監視のシステムを作っていくことも視野に入れています。
また直近では、労災防止のためのＡＩサービス「ＨＡｉｏ」の提供を始めましたが、働く環境の整備や健康管理・メンタル管理などをシステムの力でサポートしていくことも重要なテーマです。
一方で、2018年に子会社化した平和鉄工所も、私たちの姿勢を示す分かりやすい事例です。同社は”超”が付くほど匠の技術を持った企業で、ここでのノウハウは、とても通常の研修では得られることができないものです。こうした日本ならではの飛びぬけたモノづくり力をしっかり身につけていくことで、お客様からのより高度な期待にも応えていきます。
そして何よりも人材の力です。今まで以上に、教育のカタチを進化させることで、アナログとデジタル双方を理解し、よりよい相乗を生み出す力を持った人を増やしていく。そしてあらゆるすべての領域に置いて、製造業の底上げを図る会社であり続けたいと考えています。
会社概要
株式会社平山ホールディングス
代表取締役社長 平山 善一 氏
資本金: 4億3,800万円
創 業: 1955年12月
従業員数: 9,119名（連結）
売上高 :229億円（2020/9期連結）
東証ジャスダック（7781）
