お酒っておもしろい!「いまでや 清澄白河」で、日本酒・日本ワインの立ち飲みを堪能。オリジナルの熟成焼酎も
「プロのアドバイスとともに味わえば、お酒はもっと美味しくなる。そして新たな魅力に気付くことができる」。そんな期待とともに今回訪れたのは、東京都江東区にある「いまでや 清澄白河」。
運営会社の株式会社いまでやは、千葉県に本社を置く、今年11月に創業60周年を迎える老舗酒販店。蔵元やワイナリー、飲食店の経営に寄り添いながら、お互いのブランド力や事業の成長を作り上げていくことをミッションに、お酒関係者から絶大なる信頼を集めている会社です。
「いまでや 清澄白河」がオープンしたのは約1年前。今や”コーヒーの聖地”とまで言われる清澄白河の閑静な住宅街の中にあることからも分かるように、立地も店舗運営も今までとはガラッと変え、サブブランドとして新たな市場創造を目指したお店だと言います。
お店に伺ったのは、対照的な属性を持つ二人組。事務局の横山は、大のお酒好きながら「何でも美味しい」と思える真っすぐな素直さがウリ。今回は”美味しいのその先”にある、蔵元の思いや魅力について学びたいと考えています。
一方、大学生の山田さんは「OCHA garden」の主催など、お茶の魅力を発信する取り組みに力を入れてきましたが、「お茶を学ぶほどに、日本酒やワインのことも詳しくなる必要性を感じるようになった」という思いからの参加です。
迎えていただいたのは店長の松本さん。生粋の日本ワインloverで、同社の日本ワインイベントにボランティアとして参加した縁で入社されたそうです。
コンパクトな店内に、色とりどりの多種多様なお酒がいっぱい。写真に見える上2段が日本ワインで、下2段が日本酒。全部で100種類ほどあるそうです。
近づいてみると、どのスタッフが選んだお酒か分かるようなラベルが貼られるなど、このお店ならではのこだわりの姿勢が随所に感じられます。
天井は打ちっぱなしのスケルトン。たくさんのワイングラスが吊り下げられ、シンプルながらアーティスティックな雰囲気。
このグラスの存在からも分かるように、店内では「角打ち(かくうち)」ができます。日替わり・週替わりでお酒が提供され、いつ行っても新しい発見ができるところが大きな魅力です。この日のメニューはこちら。
ここから「今日は特別なお酒があるよ」と教えていただいたのが黒龍酒造の「黒龍 しずく」。年に3回、限られた数量を販売する貴重なお酒。
「直近の『TheGift』というテレビ番組で、このお店が登場して、EXILE THE SECONDの 橘ケンチさんが、西岡德馬さんへ贈るGiftを探して選んだお酒だそう。「滅多に入ることがないお酒なので是非」とお薦めいただきました。
「一般的にお酒造りの仕上げでは、酒袋に詰めた醪を圧力をかけて絞っていくのですが、この『しずく』は自然の重力に任せて時間をかけて、まさに”雫が滴るように”つくっていくお酒です。そのため雑味が少なく、透き通るような味わいが持ち味です」(松本さん)
そしてもう一点、『黒龍 吟風 2019』。こちらは最近注目されている、北海道の酒米「吟風」を用いたお酒。
では最初の一杯をいただきます。これだけ貴重なお酒を言葉として表現するのも難しいのですが、敢えて聞くと「旨味が凝縮されているようで、まろやかで優しい/『しずく』横山」「水のように溶けていく感じ/『吟風』山田さん」とのことでした。
続いて2杯目は日本ワインからチョイス。「ちょうど2020年ビンテージをお披露目するイベントがあって、これも今だからこそ飲めるお酒」と出されたのが、『ドメーヌ ミエ・イケノ』の赤ワイン2種(ピノノワールとメルロー)
「このワイナリーは、自分たちでイチから畑を開墾し、ブドウを収穫してワインの醸造までしています。まだ2006年にスタートしたワイナリーですが、ファーストリリース当初から注目され続け、美味しくなり続けている。一押しのワイナリーのひとつです」(松本さん)
ラベルの形状がユニークなことにいち早く気付いた山田さん。その理由を聞くと、同ワイナリーが八ヶ岳の裾野の丘陵地にあり、八ヶ岳の稜線を形づくっているとのこと。また会社名の「レ・バ・デュ・シャ」が、『開墾前の畑にたくさんの猫の足跡があったことから名付けられた』などと伺い興味津々。持ち前の好奇心を発揮して、次々と質問を繰り出していきます。
ピノ・ノワールやメルローといったブドウの品種の違い、ボルドーやブルゴーニュといった産地についてといった基本的知識から、ボルドーとブルゴーニュはワインボトルの形状にも違いがあるとか、ただ『ドメーヌ ミエ・イケノ』では、ピノ・ノワールもメルローも同じなで肩タイプのボトルを使っていることなどまで。
さらに「今後ワイナリーめぐりをしたいと思っている」という山田さんの質問に答えて、お薦めのワイナリー情報なども教えていただきました。たくさんの質問にも面倒がらずに、いやむしろより生き生きして、多くの知識や情報を提供していただけるところがこのお店の醍醐味です。
3杯目は少し趣向を変えて、「いまでや」オリジナルのハイボール。これは鹿児島県の西酒造による芋焼酎『天使の誘惑』を、いまでやが独自に樽熟成させたもの。もともと『天使の誘惑』はハイボールに合う焼酎ということで開発されているのですが、それを熟成させると味わいはどう変化するのでしょうか。
グラスに注がれた液体を見て、「え。これが芋焼酎?」が第一声。何も説明されずに出されたら、普通にウイスキーと思ってしまいそう。
当惑しつつもグイっと。その感想は「これは凄い。香りがすごくてガツンとパンチを食らう感じ」。そして「これはうまい」「たまんない」の言葉を連発しながら飲み干して、「こんなに美味しいハイボールは初めて」と感嘆。
このハイボールに合うおつまみとして供されたのが、クリームチーズにXO醤を乗せたもの。近年、XO醤への注目が高まっているそうで、こちらも複雑な旨味が折り重なり凝縮した感じでとてもおいしい。
『いまでや清澄白河』のお店のレシピを共同開発した料理研究家の方が輸入されているものとのことで、店内でも販売しています。
ちなみに、その先生が考えたノンアルコールレシピがこの二つ。清澄コーラと清住ソーダ。今回は、清澄コーラを注文します。
「コーラの定義ってあまりよく分からないよね?」と皆で語りながら、出てきた飲物を見てまたびっくり。色合いからはとてもコーラを想像できない。スパイスの味が重層的に交じり合い、薬膳っぽいというか、「なにか健康に良さそう」。クミンの香りがかなり立つので「カレーっぽいな」という感想も。ジンジャーエールとはまた違う、濃厚かつ爽やかな一品でした。
とうことで、今回のお店訪問も終盤に。最後はお持ち帰りの一品を探します。(※店内で販売しているお酒は、開栓料・グラス料などを支払えば店内で飲むこともできます)
横山は『天使の誘惑』の余韻がまだ強く、「日常使いで手軽に楽しめる価格で、ガツンと匂い立つワイン」というリクエストから。山田さんは、『黒龍 吟風 2019』が美味しかったということから、同じ吟風を使って、酒米の産地・北海道の蔵元から、近年注目を高めているこの一品を選んでいただきました。
松本店長、丁寧な説明とアドバイスありがとうございました。ご馳走様でした。
~ 訪問後の感想 (事務局/横山)~
【お店について】生産者の顔が思い浮かぶようなストーリーを伺いながら、銘柄毎の味の違いを堪能できる店の雰囲気。飲む人の好みに合わせて銘柄を提案していただける安心感とワクワク感がとても良かった。とりわけ絶妙だったのが焼酎ハイボール。レモンの香りが芋焼酎の芳醇な味を引き立たせ甘味すら感じさせ絶品でした。お酒を嗜好品として楽しむにはうってつけのリラックス空間でした。
【お土産のワインについて】私の好みである「パンチの聞いた味わい」をもとにセレクト頂いた一品。口に含んだ瞬間にやや渋みの効いた味が広がり、鼻に抜けるブドウの香り。しかし、喉を通過した後はすっきりとした後味で脂身の多い肉と合わせて飲むと最高のワインでした。
~ 訪問後の感想 (山田さん)~
【お店について】日本酒、日本ワインの一段と深い世界に案内していただきありがとうございます。ボトルを手にとるだけではわからない香りや味わい、さらにはストーリーにまで出会うことができました。飲み比べることで一つひとつの個性をより鮮明に大切に感じられて、これから日本酒や日本ワインを選ぶときの物差しを培うことができたように思います。
【お土産の日本酒について】鼻にぬけるかおりの威勢の良さにあわせて、お米の味わいがじっくりと伝わってくるような感じがします。 後味には紅茶や赤ワインを飲んだあとのような渋みが舌に広がり、より豊かな味わいを感じることができました。
「いまでや 清澄白河」店舗概要
住所:東京都江東区平野2-6-8 1F [Google Map]
Tel:03-6458-5677
営業時間:販売:13:00〜21:00 角打ち:14:00〜21:00(20:30 L.O)
※現在はサマータイム中
定休日:月曜