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化粧品向けガラスびん製造の第一人者。人材育成や技術継承でも高い評価【週刊ダイヤモンドMI連動】

興亜硝子株式会社
2021/01/22

1943年にガラスびんメーカーとして創業。すぐに化粧品容器向けに特化し、国内の大手化粧品メーカーの成長とともに事業を拡大する。顧客から高く評価されるのが、優れた造形力、ガラスの透明度、安定した品質と量産体制など。デザインから設計、金型、成型、塗装、印刷などをすべて内製化するワンストップ体制や、受け継がれてきた「チャレンジする文化」が強さの基源泉にある。

近年は、香水のびんなど海外の実績を広げるとともに、サステナビリティをテーマに、ガラスびんの高度なリサイクル環境を強化中だ。一方で改善活動を推進する「小集団チーム」の運用や、独自の人事・評価制度の構築など、技術継承にも注力。この取り組みが評価され、2019年に「東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」大賞を受賞している。

(週刊ダイヤモンド2021/1/25号P.72「マンスリーインフォメーション」より転載)

 

興亜硝子の強さをキーワードで読み解く ~取材こぼれ話~

化粧品ガラス瓶製造の先駆者

創業は戦時中の1943年。薬品用の瓶を主に生産していました。しかし5年後の1948年には化粧品業界向けに特化することを決め、大手メーカーと二人三脚で市場の拡大とともに業容を広げてきました。

私たちの経営の特長は、デザイン、設計、金型、成型、塗装、印刷など、化粧品容器を製造するためのあらゆる工程を内製していることです。そのため、社内のフィードバックが早く、クライアントからの要望にスピーディに対応できる。創業から受け継がれてきた、チャレンジすることに貪欲な文化も相俟って、新しい材料や工法、製品に果敢に取り組んできました。中でも特殊な形状や異なる材質の組み合わせなど、より精度の高い領域で高い優位性を持っています。月間120~150種と、多種多様なニーズに柔軟に対応できるのも大きな強みです。

【製造工程詳細はこちらから】https://www.koaglass.co.jp/group-company/ichikawa/

 

サステナビリティは重要なテーマ

売上の3割ほどが海外市場向けです。主に香水の瓶になります。国内メーカーからの要求水準は国際的にみても一番厳しく、長く日本市場でもまれてきたおかげで、品質面では世界的にもトップクラスであると自負しています。特に香水の瓶は、より高い透明度と質感が求められるため、そのコントロールには最新の注意を払っています。

近年は、「サステナビリティ」が重要なテーマになっています。ガラス瓶は、早くからリサイクルが進んできた分野であり、私たちも現在50%ほどの再生品比率になっています。この比率をもっと高めていくためにも、再生材の透明度をどこまで上げていくことができるかが、重要な研究テーマになっています。

直近では、世界的に容器再利用事業の「Loop」などの動きが活発化しており、この流れはこれからも強くなっていくでしょう。化粧品業界で言えば、外側の容器はそのまま中身の包装だけ入れ替えるような動きも出ています。この市場が伸びてくるとガラスの利用量は減るかもしれませんが、その分付加価値の高いものをつくることで勝負していく。長く使える品質とデザインを追求していけば、私たちの強みが発揮されるマーケットになると考えています。

 

ガラスメーカーだからこそできた優れた抗菌剤

長年にわたって蓄積してきた私たちのガラス製造技術を生かして開発したのが、抗菌剤「ミリオンガード」です。これは”溶けるガラス”を用い、水に徐々に溶解する過程で銀イオンを溶出し、水を抗菌化させるものです。溶解速度は、ガラスの組成を変更することにより調整が可能で、毎日の暮らしに関わるキッチン用品をはじめ、家電製品や文房具、建材品にいたる多種多様の製品で使用されています。開発に着手したのは、もう20年ほど前になりますが、コロナ禍の影響もあり、直近の引き合いは非常に増えています。タブレットや粉材、ペレットなど、お客さまのニーズに合わせて加工し提供しています。

【抗菌剤「ミリオンガード」について】https://www.koaglass.co.jp/antibacterial/

 

「東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」大賞

ありがたいことに、令和元年度「東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」(ものづくり部門)で大賞をいただくことができました。この賞は、「技能者の育成と技能の承継に取組んでいる都内の中小企業等で特に成果を上げた企業などを東京都が表彰するもの」で、これまで私たちが取り組んできたことが評価されたことを嬉しく思っております。

私たちの取り組みのなかで象徴的なものに「小集団チーム」があります。これは現場からのボトムアップによる改善活動を進めるもので、現場のスタッフはほぼ全員が参加しています。背景にあったのは、年々厳しくなるお客さまの求める品質基準に対応できる技術力をつけていくこと。そして職人気質が強く属人的な要素がまだまだ残っていたため、仕組みとして速やかに技術を継承できる環境を整えたかったことなどがあります。また独自の「力量認定教育」や評価体系などを再構築し、技能向上への仕組みづくりにも力を入れてきました。

一方で採用にも力を入れ、工業高校などとの関係を強化し、毎年15~20名くらいの新卒社員をコンスタントに採用しています。入社後は半年間にわたって日記をつけ、それを毎日上司がチェックし、組織に早く溶け込めるような風土づくりにも力を入れています。私自身も全ての日記に目を通しており、それが毎日の楽しみになっています。

★受賞詳細はこちらから https://tokyo-koudanren.or.jp/folder30/20200123-3.pdf

 

会社概要

興亜硝子株式会社

代表取締役会長 出井 龍彦 氏
設立 1943年1月
資本金 7,200万円
従業員 約500名(グループ含む)
売上高 96億円(2020/9月期)

https://www.koaglass.co.jp/

 

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