高級回転寿司のパイオニアとして、「金沢まいもん寿司」を中心とした飲食チェーンを全国で展開するエムアンドケイ。のどぐろ、白エビ、赤西貝など北陸の旬のネタをふんだんに取り入れ、職人の腕を生かしたこだわりの寿司の数々、加賀文化を継承する優雅な内装やホスピタリティの高い接客などが支持され、業界トップクラスの人気と評価を不動のものとしている。

さらに積極的なＭ＆Ａや合弁などで、グループ企業も13社以上に拡大。外食業態の多角化や食材の製造・販売や輸出、健康産業などにも乗り出していくほか、2020年に出店した台湾（台北）の寿司店を足掛かりに、日本ならではの多様な食文化を世界に発信するべく東南アジアを中心としたグローバル展開も加速。2021年度は、国内外で20以上の新店を予定している。

(週刊ダイヤモンド2021/4/24号P.68「マンスリーインフォメーション」より転載)

株式会社エムアンドケイの強さをキーワードで読み解く　～取材こぼれ話～　　　　　　　

自分で食べたい、家族に食べさせたいものにこだわる

絶対に妥協したくないのは、美味しいものを美味しい形で出し続けるということです。自分が食べたいもの、家族に食べさせたいと思うものをお出しする。その姿勢が経営のすべての原点にあります。

幸い本社のある金沢、能登半島、そして富山湾は美味しい海の幸の宝庫であり、それ以外にも全国の産地や市場を通じておいしいものを仕入れています。回転寿司としては異例ともいえる”職人が握る寿司”にもこだわってきました。

安く機械的にマニュアルの世界ではなく、心を込めた美味しい寿司を一つひとつ丁寧にお出ししていくという発想。値段はその後についてくるものだと考えています。当初から「グルメ系回転寿司」「高級回転寿司」などと紹介されてきましたが、数ある全国の回転寿司のなかでも顧客単価はトップクラスになっています。

一方、そういったおもてなしの心をしっかりお届けするためにも、ホスピタリティや職人の技量の向上には、何よりも力を入れています。毎日の朝礼に始まり、定期的な全体研修もかなり多く、人材育成にかけている時間やコストはどこよりも多いのではないかと自負しています。

2021年は出店攻勢、新規事業展開を加速させる

近年、「金沢まいもん寿司」を中心として積極的な店舗展開を進めてきましたが、昨年はコロナ禍の影響で、少し様子を見ていました。しかし想像以上に、回転寿司という業態は底堅く、売上もかなり回復してきたことから、2021年はしっかりアクセルを踏む年にしようと考えています。

まずは国内の出店の拡大。いま全国から出店要請が来ており、私たちの目指すコンセプトと合致するかどうかをしっかり確認しながら直営の店を広げていくほか、合弁会社の設立やFCにより全国展開も進めています。

また2020年に出店した台湾の寿司店「金澤美味壽司SOGO台北忠孝館店」の調子がいいことから、台北にもう一店近くオープンする予定です。

▲「金澤美味壽司SOGO台北忠孝館店」のメニュー表

ベトナムでも、高級寿司や鉄板焼きなどの業態を複合した和食店のオープンが近いですし、海外展開も一気に進めていきます。今年はグループで、国内・国外合わせて20店舗ほどの新規出店を見込んでいます。

一方、飲食店だけではなく、食材の製造・流通・貿易などにも力を入れています。例えば北海道のいくらメーカーをはじめ、いくつかM&Aを進めており、日本の食材の輸出、欧米の食材の輸入の会社もそれぞれ立ち上げました。近い将来、健康産業の領域にも進出して、食・貿易・健康を三本柱に、グループ展開していきたいと考えています。

今回のコロナ禍で、多くの飲食店や食材関連の会社がダメージを受けました。良いものをつくり、良いお店を運営してきた会社も例外ではありません。こういう変化の激しい時代を乗り切っていくのは非常に難しいと思っています。

だからこそ、今後100年、200年と企業を続けるために、守るところは守り変えるべきところはしっかり変えていく。「守破離」の精神で、進化し続けていきたいと思っています。

私は未来のことを考えるのが楽しいんですよ。今まで1000年で変わってきたことが100年や1年で変わる時代。そこに何が起きていくのだろうと。周りからは「暴走老人」とからかわれたりもしますが(笑)、まだまだ気持ちは若いですし、魅力ある企業や店舗をたくさん生み出していくグループを作り上げていきたいですね。

会社概要

株式会社エムアンドケイ
代表取締役 木下 孝治 氏

会社設立：1999年4月
資 本 金：5,000万円
従業員数：800名（グループ計）　
売 上 高：54億円（2020年12月期）

https://www.maimon-susi.com/