危機管理おやじのつぶやき第2弾「店舗等の入店制限時等のポイント‐現場社員を守るために」
企業危機管理の専門会社・株式会社エス・ピー・ネットワークの熊谷信孝社長による緊急連載第2弾は、『店舗等の入店制限時等のポイント‐現場社員を守るために』。以下、ご提供いただいたコラムから抜粋して紹介します。
危機管理おやじのつぶやき/コロナ対応2
『店舗等の入店制限時等のポイント‐現場社員を守るために』
大規模店舗で十分な駐車スペースがある場合でも、入場制限による入店待ちの為、店舗周辺の道路が渋滞したり、駐車場に入庫する車両で一車線を埋めてしまったり、違法駐車・駐輪やそれに伴う騒音等による苦情が入るおそれがあります。
入店待ちの行列が歩道にあふれることなどを想定して、事前に近隣に対して、営業時間や想定される迷惑行為、それに対する店舗としての対応等についてご案内しておくことが必要です。
日ごろ交通誘導警備を導入していなくても、警察の指導もいただきながら、交通誘導警備や誘導・案内スタッフを選任・配置して、道路状況の監視や店舗周辺、駐車場付近の巡回も含めた対応体制を整備する必要があります。その際、予め、ルールを決めて、案内を設置したりして、告知しながら、必要に応じて中止要請やルール順守のお願いをして、各種のトラブルや近隣からのクレームへの予防策を実施していくことが重要です。
特に駐車場や停車中の車両(入庫待ち)でクレームとなりやすいのは、エンジンやオーディオの音による騒音苦情、排気ガスや車内・駐車場での喫煙に等による匂いや健康被害の申し出、見知らぬ人や多くの人が近隣にたむろすることによる犯罪等への不安、子どもの安全に関する苦情・申し出、自宅や建物への出入りに支障があるとの申し出等、多岐にわたります。
特に、緊急事態宣言の延長や営業自粛・在宅勤務等によるストレス、小中学校が休みで、お子様が自宅におり、特に防犯面に関する不安を抱えていることなどの事情もあり、ただでさえ、クレームが発生しやすい状況です。
既に入店制限を実施している場合も含めて、近隣から寄せられた苦情・相談等についての対応方針について、対応スタッフと共有して二次クレーム等にならないようにしておくことも必要となります。
◆その他の、緊急レポートご紹介
『コロナ禍におけるコミュニケーション』(総合研究部 上級研究員 吉原 ひろみ)
新型コロナウイルスにより世の中が大きく変わり、それに伴い「働き方」も大きく変わっています。慣れない在宅勤務や、常に「不安」にさらされながら行う接客・販売、営業自粛を求められ「働きたくても働けない」状況など、「いつも通り」ではない今だからこそ、職場におけるコミュニケーションも「いつも通り」ではいけません。
本稿では、この「コロナ禍」におけるコミュニケーションを少しでも円滑にし、今後の回復期につなげていくためのポイントについて、考えてみたいと思います。
〇「不安」を感じる人、感じない人
世の中には、「不安」に対する感度が「非常に高い人」と、「さほどでもない人」がいるように思います。
不安への感度が高い人は、「他者に起きた不幸な出来事」も、自分や自分の親しい人の身に置き換えて、その痛みを「実感」してしまいます。乳がんの治療を受けていた女優さんが亡くなったニュースを見て、同じ病気で闘病中の友人を思い出して涙を流し、心配で眠れなくなったりもするものです。
一方で、不安への感度がさほど高くない人は、自分の身に危険が迫っていたとしても、どこか「他人事」のようにふるまうことが多いようです。それは行動にも如実に現れ、「マスクをしろ!」と部下には命じていながら、マスクを顎までずらしたままで話し始めたり、必要な消毒作業を雑に行ったりと、不安への感度が高い人をますます不安に陥らせることになります。
不安への感度が高い人の気持ちとしては、「何で平然としていられるのよ!」「他人事じゃないんだぞ!」と、不安が「怒り」に変化し、さらにはそんな行動を注意もしない上司や会社に対する「不信感」に発展していきます。「きちんとしない人」がいることで「不安」がさらに高まれば、不幸にも感染してしまった人やその家族、感染の危険度の高い人への偏見、コロナハラスメントにまでつながりかねません。身近な「きちんとしない人」への「怒り」「憎悪」が矛先を変えて、他者に対する「心無い言動」を生み出したり、会社に対する不満を押し上げたりするならば、今後の業務運営にも大きなしこりを残すことになります。会社はそれを放置すべきではありません。
また、SPクラブ会員様向け動画配信サイトに「中小企業のための新型コロナウイルス簡易対応マニュアル」が公開されています。緊急レポートと合わせてご覧ください。